給食パンに地元産小麦 貴志南小学校で提供

和歌山県和歌山市中野の市立貴志南小学校(寺上円女校長、生徒数314人)では、11月中の月曜日と金曜日の週2回、地元産小麦を使ったパンが提供されている。同校近くの農家、貴志正幸さん(62)と、子どもたちにより安全・安心な給食を食べてもらいたいと活動するグループの満留澄子さんらの努力が実り、試験的な実施だが大きな一歩となった。

貴志さんは、同市梅原にある田畑で、アイガモ農法で米を作り、タマネギやダイコン、ニンジンなどの野菜も栽培。それらの野菜を給食用に納入し、また田植えや稲刈り体験などで日頃から同校の子どもたちと交流している。

30年ほど前に小麦作りに挑戦したが、栽培や製粉の難しさから断念。しかし、暖地でも栽培できる品種が出てきたことから、2年前に栽培に再挑戦。昨年は190㌔㌘、ことしは300㌔㌘を収穫した。低迷する食料自給率や残留農薬などを考え、給食パンには輸入小麦より地元産のものを使ってほしいとの思いが増す中、「安心・安全な学校給食を」と運動を続けてきた満留さんらと出会い、地産地消を進めている県学校給食会とも協力し、今回の提供が実現した。

先日、同校の給食で貴志さんが育てた小麦を使って焼いたパンが提供され、5年2組の場谷一騎君(11)は「とてもやわらかくて、パンの味が濃くておいしい」、土佐勇希翔君(11)は「中がふわふわしてる。知ってる人が作ってくれていると安心やし感謝の気持ちが大きい」と笑顔でパンを頬張った。

「パンはもちろん、米飯や野菜など、もっと地元産のものを食べられる機会を増やせるように栽培を頑張りたい」と貴志さん。

ことしはさらに、海南市の休耕田を借り、近隣の農家や有志が一緒にパン用小麦を増産する「給食スマイルプロジェクト~県産小麦そだて隊!」がスタート。一般参加も募り、貴志さんの指導のもと小麦の栽培を行う。先週末に種まきを行い、来年の5月末から6月ごろに収穫の予定だという。満留さんは「食の安全は大切。子どもたちが安心して給食を食べられ、地産地消の大切さにも気付いてもらえればうれしい」と話している。活動についての問い合わせは同プロジェクト事務局(kyushoku.smileproject@gmail.com)。

おいしそうにパンを食べる子どもたち

おいしそうにパンを食べる子どもたち