8期ぶり景況判断プラス 先行き不透明続く
近畿財務局和歌山財務事務所の景気予測調査(11月15日時点)で、和歌山県内企業の10~12月期の景況判断BSI(前期比「上昇」から「下降」を引いた指数)は前期のマイナス15・3から1・0に大きく上昇し、8期ぶりのプラスとなった。前期に続いて改善したものの、先行きの見通しは再びマイナスに転じており、同事務所は新型コロナウイルス感染症が県内経済に与える影響を引き続き注視する必要があるとしている。
産業別のBSIは、製造業が13・2(前期マイナス39・5)に上昇し、非製造業はマイナス6・7(同0・0)に下降した。
先行き見通しは、全産業で来年1~3月期がマイナス11・2、4~6月期がマイナス5・1で、新型コロナ収束の見通しが立たない状況が反映されている。
規模別のBSIは、大企業(資本金10億円以上)がマイナス27・3(前期9・1)に大きく悪化し、中堅企業(1億円以上10億円未満)は12・5(前期マイナス21・6)、中小企業(1000万円以上1億円未満)はマイナス2・1(前期マイナス16・0)で、ともに前期より上昇した。
先行き見通しは、来年1~3月期で大企業が27・3に大きく上昇し、中堅企業はマイナス7・5、中小企業はマイナス23・4に落ち込んでいる。4~6月期は、大企業が0・0、中堅企業がマイナス2・5、中小企業がマイナス8・5となっている。
企業からは、「自粛期間の反動があった前期と比較すると少し落ち着いており、売上は対前年比8割程度。ただし、感染症の再流行により忘年会需要が見込めないことから、12月も含めると8割を切るかもしれない」(飲食業)、「中国の経済活動が好調で、需要が回復している他、国内向けも需要の回復がみられることから、自動車関係部品の受注が戻ってきている」(輸送用機械製造業)、「不特定多数の人と接する業務のため、感染症を警戒してパート職員が集まりにくくなっている」(小売業)などの声がある。
雇用情勢は、12月末時点の従業員数判断BSI(「不足気味」から「過剰気味」を引いた指数)が全産業で10・5(9月末時点5・3)と、「不足気味」超が続いている。全産業の今後の見通しは、来年3月末が11・6、6月末が8・4となっている。
調査は県内に本店がある資本金1000万円以上の法人(電気・ガス・水道、金融・保険業は1億円以上)を対象に実施し、98社(回収率86・7%)から回答を得た。