原風景や伝統訪ねて 西川さん10冊目紀行本
和歌山県紀の川市貴志川町西山の西川寛巳さん(91)が10冊目となる紀行本『にっぽんの旅 こんな旅』をこのほど出版した。西川さんは「好きなように旅をして書いた。自由に読んで楽しんでもらえれば」と話している。
西川さんは1929年に県那賀郡西貴志村(現紀の川市貴志川町)に生まれた。和歌山中学校(現・桐蔭高校)から敗戦までの一時、海軍経理学校に在学。50年に和歌山経済専門学校(現・和歌山大学経済学部)を卒業後、紀陽銀行に入行。経理部長を最後に84年に退職。鉄道が好きで79年には39人目となる国鉄全線完乗を果たした。
本は401㌻。「日本の原風景」「伝統を訪ねる」「歴史を追う」「鉄道好きが高じて」の4章に分かれ、西川さんが全国各地を歩いて現地で感じた風景や、旅の思いなどを記している。
エッセイストのゆたかはじめさんは同書を「地図帳にないほど小さな地域の行事や祭、歴史の世界にまで足を運び、首を突っ込み、一つひとつの旅を楽しみながら生き生きと描いている」と評している。
現在も2カ月に2、3回は旅に出る。「行きたいところがたくさんある。一人旅は自由で、さすらう感じが良い。ひょっとしたら帰れないという不安感もあるが、自分の内面をじっくりと見つめる時間が醍醐味(だいごみ)だと思う」とその魅力を語る。
「一度訪れた場所はもう行かない」という西川さんだが、北海道の紋別市は印象に残る。「流氷がすごくてとても感動した」と2度訪れたとか。
これから訪れたい場所は、浅井長政と織田信長の妹のお市の方の間に生まれたお江が過ごした三重県津市。「お江ゆかりの地を歩きたい」と話している。
B6判、1000円。宮脇書店和歌山店、ロイネット店などで販売している。