熊野詣などネタ下ろし 桂枝曾丸さん
和歌山県和歌山市の落語家・桂枝曾丸さん(52)の独演会「わかやま芸品館」が2月21日午後2時から、同市伝法橋南ノ丁の市民会館小ホールで開かれる。枝曾丸さんの師匠・5代目桂文枝が唯一手掛けた創作落語「熊野詣」と、18作目となる和歌山弁落語をネタ下ろしする。枝曾丸さんは「初めてお披露目する演目を出す、地元の大きな位置付けの独演会です。ぜひお越しください」と話している。
ほぼ毎年、市民会館で開催し、20回目を迎える独演会。秋に新市民会館「和歌山城ホール」がオープンするため、現在の市民会館では最後の芸品館となる。
上方落語には、伊勢参りの道中を描いた古典が数多くある一方、熊野参詣をテーマにした作品はなかった。熊野古道の世界遺産登録を目指す運動が盛んだった2001年、熊野古道を愛する会の依頼を受け、5代目文枝は新作を手掛けることになり、何度も熊野に足を運び、古道を歩き、現地の人に取材を重ねて「熊野詣」を完成させた。
04年4月、「熊野詣」は新宮市で初演され、文枝は翌05年3月に死去した。
「熊野詣」は、亡き妻が果たせなかった熊野三山への参拝に向かう夫と息子の旅物語。熊野の神々の使い「八咫烏(やたがらす)」や、江戸時代に三山巡りを終えた人に田辺で振る舞われていたという「山祝い餅」などが登場する。
文枝一門では4代目小文枝さんらが「熊野詣」を手掛けており、枝曾丸さんも満を持しての挑戦となる。親子の物語を「子どもたちにも生の高座で見てもらいたい」と、今回は親子ペア券も用意している。
漫画家マエオカテツヤさんとの共作で手掛けている和歌山弁落語の新作は、テレビショッピングが題材。新型コロナウイルスの流行で、通信販売の巣ごもり需要が拡大した状況を、おなじみ〝和歌山のおばちゃん〟の笑いで描く。
この他、旭堂南海さん、宮村群時さん、桂三風さんが出演し、司会はみなべ町出身の桂紗綾アナウンサー。南海さんと宮村さんは、明治初期の世相を歌った流行歌で、復興の動きがある「書生節」を披露する。
チケットは前売り2500円、親子ペア券(小学生1人+中学生以上1人)が3000円(当日はいずれも300円増し)。全席自由。市民会館やローソンチケットなどで取り扱っている。
問い合わせは同館(℡073・432・1212)。