あなたも「血管美人」に 島院長が発刊
和歌山県和歌山市堀止東の島循環器・内科の院長、島廣樹さん(66)が、血管を若々しく保つ重要性などをまとめた『血管美人』を和歌山新報社から発刊した。2002年から04年にかけて、本紙で連載した内容を再編集したもの。コロナ禍で、免疫力を高めるためにも血管を健康に保つことが大切だとし、「一人でも多くの人により良い人生を歩んでもらいたい」との思いを込めた一冊になっている。
島さんが出版にあたり、こだわったのが本のタイトル。1996年の開院後、間もなく健康に関する講演依頼があり、動脈硬化の話題をそのままの題名で講演を始めようと思っていた。しかし、女性向けの講演で「動脈硬化」とするのはあまりにも堅苦しいと思い、ひらめいたのが「血管美人」という言葉だった。分かりやすいと参加者から評判も良く、その後も同じタイトルで講演会を開いていたことから、同書も『血管美人』とした。
100年以上前に医学教育の基礎を築いたカナダ人内科医ウイリアム・オスラー博士が「人は血管とともに老いる」と名言を残している。島さんは平均寿命と健康寿命の差、いわゆる寝たきり期間の中で脳卒中や心臓病などで老衰死する、血管に関する疾患があると指摘。日本人の約3分の1の死因が心疾患や脳血管疾患など血管に関わるものであるとし、がんと同程度の危険率を持つ血管の疾患において、オスラー博士の考えは現代でも生きていると話す。
同書では、高血圧や高脂血症、糖尿病を引き起こすなど特に内臓脂肪が蓄積されているメタボリックシンドロームの人に動脈硬化のリスクが高いと警鐘を鳴らしている。血管が老いる原因である活性酸素をブロックする抗酸化物質を含む食物の摂取など、動脈硬化の予防対策について表やイラストを使って分かりやすく解説し、「血管美人への道」を歩むためのノウハウが盛り込まれている。
また同書は病理学の権威で、カスピ海ヨーグルトを国内に紹介したことで知られる京都大学名誉教授の家森幸男さんが推薦している。
島さんは「社会を支える働き盛りの40~50歳代の人にぜひ読んでほしい。脳卒中や心筋梗塞などで倒れると社会的財産の損失になる。その人たちの血管を守りたい」とし、「血管をいかにして若々しく保てるか、動脈硬化疾患の予防についても書いている。分からないことがあれば辞書のように読み返してもらえる本になっている」と話している。
モノクロA5判、186㌻。500円(税別)。購入は同院(℡073・427・0006)。