還付金詐欺が急増中 県警がATMで啓発

和歌山県内で還付金詐欺などの特殊詐欺被害が急増している現状を受け、県警察本部をはじめ和歌山東、西、北の各署員ら約50人が3日、和歌山市内の紀陽銀行のATMコーナー約70カ所で大規模な警戒活動を行った。警察官らがATMの利用者らに特殊詐欺被害が増えていることを伝え、「不審な電話があれば、専用フリーダイヤルに電話してください」と3月に開設した専用フリーダイヤルの周知を呼び掛けた。

県警生活安全企画課によると、ことし1月から5月末までの県内の特殊詐欺被害は27件、被害総額は2800万円に上るという。昨年は0件であった還付金詐欺が急増しており、5月末時点で15件。特に5月半ばから急増し、先月1カ月間で認知された特殊詐欺被害9件のうち、過半数を占める6件が還付金詐欺となっている。

市の職員などを名乗り、「介護保険料の還付金がある」などとだまし、金融機関のATMに誘導した後、電話で指示しながら現金を振り込ませる手口が多く、対面せず口座間で振り込みが完了するため、犯人側のリスクが低いとされる。

県内における特殊詐欺は、半数以上が和歌山市内で発生しており、5月末までに還付金詐欺の被害に遭った人全員が60代女性という共通点から、犯人側がリストを持っている可能性もあるという。

この日の警戒活動は、特殊詐欺被害の防止とともに、犯人をけん制する目的で緊急で行われた。同行の東和歌山支店(同市友田町)では、警察官ら5人が「これはわなやみはり隊」としてATMコーナーに立ち、専用フリーダイヤル(0120・508・878)について書かれたチラシとポケットティッシュを配り、警戒を呼び掛けた。

チラシを受け取った70代女性は「テレビや新聞で還付金詐欺が増えていることを耳にしていた。知らない電話番号には出ないようにしているが気を付けようと思う」と話した。

同行の湊支店(同市湊)では、警戒活動を行っている最中の午後1時15分ごろ、電話で話しながらATMを操作する客がいたため、行員が声を掛けたところ、還付金詐欺被害を水際で防げたという事例が発生。

同課の北島彰課長は「知らない人からお金やキャッシュカードに関する電話があれば、全て詐欺だと疑ってもらい、一度話を中断して相談してもらいたい。3月から専用フリーダイヤルを開設しているので、気軽に確認電話をしてもらえれば」と呼び掛けた。同ダイヤルを開設した3月1日から5月末までの相談は110件。周知が進むにつれて件数が増えているといい、今後もあらゆる警戒活動で特殊詐欺防止に努めていくという。

特殊詐欺への警戒を呼び掛ける警官㊨

特殊詐欺への警戒を呼び掛ける警官㊨