未来志向の東京2020閉幕 持続的な経済成長と脱炭素へ
新しい形で開催された東京2020パラリンピック競技大会が、先週末閉会式を迎えました。それに先立つオリンピックでは、岩出市の四十住さくら選手をはじめ、10代の若い選手たちの予想を超えた活躍に、大きな驚きとともに未来への強い希望と勇気をもらいました。そしてパラリンピックでは、年齢や病気、障害などに屈することなく、全力で勝負に挑まれた選手の皆さんに心から称賛の意を表したいと思います。
日本はこの大会で「Be better , together(より良い未来へ、ともに進もう。)」という持続可能性コンセプトを掲げています。2015年9月に国連サミットにおいて、全会一致で国際社会共通の目標「持続可能な開発目標(SDGs)」が設定されましたが、世界中が注目し、世界最大規模のスポーツイベントである今回の東京2020大会では、このSDGsの達成に向けて一歩進めることが重要な任務でもありました。5つの主要テーマ「気候変動」「資源管理」「大気・水・緑・生物多様性等」「人権・労働、公正な事業慣行等」「参加・協働、情報発信」とそれぞれの具体的な目標、また、調達する全てのモノやサービスに持続可能性への配慮を求めた「調達コード」を定めて準備・運営しました。選手村の段ボール製ベッドや使用済みプラスチックを再生利用した表彰台、不要になった携帯電話や小型家電を全国から回収して製作された約5000個の金・銀・銅メダルなどは大変話題となりました。そのほかにも、卓球や柔道などで新設し大健闘を見せた「男女混合種目」、障害の重い選手の出場機会の増加など、多様性、公平性を重視した未来志向の大会が世界に発信されたと確信しています。
国会においては「持続可能な国産燃料を考える会(議員連盟)」を設立、8月末に第1回総会を開催し、私は最高顧問に就任しました。
日本は一次エネルギー(石油・石炭・天然ガスや水力・太陽・地熱等の自然界から得られる加工されていないエネルギー)の約90%を輸入に頼っていますが、将来を見据え国民の生活を維持していくために、エネルギー自給率の向上や輸入先を多様化する「エネルギーの安全保障の確保」が必須となっています。
一方で、カーボンニュートラルに向けた対応が世界的な潮流であり、日本は昨年「2050年カーボンニュートラル実現」を宣言しています。持続的な経済成長とカーボンニュートラルの両立に向けて、燃焼しても大気中のCO2を増加させないバイオ燃料、水素、アンモニア、合成燃料等の脱炭素燃料の製造や、化石燃料を利用しながらもCO2を増加させないCCS(二酸化炭素回収・貯留)、カーボンリサイクルといった脱炭素技術の開発と社会実装に向けた取り組みが重要です。
このような中、国際航空分野において、国際民間航空機関(ICAO)がCO2排出削減目標を掲げ、今後はさらにSAF(持続可能な国産燃料)獲得のための競争激化が国内外で見込まれます。国産SAFの製造と安定的に供給できる体制を官民で連携して構築することによって、航空政策とエネルギー政策をまたがる課題の解決につながるよう、議員連盟の活動をしっかりと進めていきます。
そして引き続き、水素エネルギーの利活用についても精力的に取り組み、「水素社会の実現」を目指してまいります。