飲料水やポリタンク求め 断水地域の住民ら

和歌山市北部地域の断水を受けて、対象地域のスーパーなどでは、飲料水が売り切れる事態となった。ホームセンターではポリタンクなどを買い求める人が列を作り、緊急事態にできる限りの備えをした。復旧の見通しがつかず断水がいつまで続くか分からない中で、住民たちの不安な日々が始まった。

橋が崩落した3日の午後8時半すぎ、和歌山市土入のセブン-イレブン和歌山パームシティ前店には、大勢の人が飲料水を求めて来店。同地区では、午後7時半ごろ断水を知らせる放送が流れ、同店の店員によると直後の午後8時前から水のペットボトル(2㍑入り)が売れ始め、すぐに完売したという。

友人から断水の情報を聞いたという60代女性は、水の売り切れに驚き「家で鍋に水をためていたが、テレビのニュース映像を見て、復旧までしばらく時間がかかりそうだと思い急いで買いに来た。もうなくなっているなんて」と落胆。「せめてお茶と氷を買って帰ります」とかごいっぱいに商品を入れレジへ向かった。

スーパーで飲料水などを買った70代の女性は「水がないとできないことが多い。トイレの水の使用はできる限り少なくして何とか乗り切りたい」と話していた。

影響は市内だけでなく、近隣地域にも広がった。岩出市のスーパーでも棚から飲料水がなくなり、急きょ防災備蓄用の飲料水を販売。泉佐野市のスーパーでも、3日夜には店内から飲料水がなくなった。

崩落から一夜明けた4日、和歌山市古屋にあるホームセンターのジュンテンドー古屋店には、午前8時の開店前から、ポリタンクやバケツなどを買い求めて100人以上が並んだ。購入は1人5個までの制限が設けられ、開店から約1時間後に用意した約1200個が完売。追加発注をかけているが入荷は未定という。

同店によると、開店と同時に店内に買い物客が駆け込み、転倒する来店客や商品の奪い合いが発生し店内は一時パニックになったという。店側は混乱を防ぐため、入場制限を設けて来店者の安全を確保した。

断水に備え、タンクの他にもラップや紙皿など購入する姿も見られた。近くに住む20代の夫婦は「昨日の夜9時ごろ水道が止まった。朝7時すぎに来店した時は道路まで行列ができていた。買ったタンクは買いに出られないおばあちゃんに届ける」と話した。

 

用意されたポリタンクは完売(4日午前8時54分、ジュンテンドー古屋店で)