小鳥が遊ぶ極楽の庭 紀三井寺に新スポット

極楽の庭のハス池で小鳥たちが楽しそうに「ピー、ピー」とさえずりながら飛来する、そんな夢のような光景が、和歌山市の紀三井寺で楽しむことができる。

その場所の名は「天空かふぇ」。同寺の境内にあるカフェで、正面の石段を上がり切った先にある。元茶所を改装し、2018年にオープン。寺名の由来にもなっている三井水の一つ・楊柳水(健康長寿の水)で入れた霊水コーヒーや季節限定の甘酒などを楽しむことができる。海抜は約45㍍。開放的な窓からは、眼下に広がる布引の町並みや和歌浦湾を一望できる。晴れの日は四国まで絶景を見通せる。

そんなすてきなカフェにことし「一日参れば千日の功徳」の千日参りの日(8月9日)に合わせて新スポットが誕生した。極楽の庭のハス池をイメージした坪庭で、ハスの花や葉を模したオブジェも設置。小鳥たちの餌場にもなるよう制作されている。和歌浦の絶景を背景に、かわいい鳥たちの姿を堪能できる窓際のカウンター席は一番人気の場所だ。

鳥が遊びに来るようになったのは、4年ほど前。同寺の職員が餌付けを始めたのがきっかけ。その後、天空かふぇにも餌場を作り鳥たちが遊びに来られるよう環境を整えた。やって来るのは、ヤマガラ、シジュウカラ、冬にはメジロやイカルなど。同カフェの上屋公美子さん(66)は「窓の外にいる小鳥たちを見るとホッとする」と笑顔。

この場所をもっと心休まる場所にしたいと、同寺の前田泰道貫主(63)が、日本の花といえば早咲きで有名な同寺が誇る「桜」、では仏教の花といえば、「ハス」という発想から企画した。鉄製のハスのオブジェを制作したのは海南市の鍛冶師・武田伸之さん。小鳥たちが心地よく過ごせるようオブジェの配置にもこだわった。

今の時期、遊びに来るのはヤマガラ。ハスの花の餌入れから、ヒマワリの種をついばみ、葉のくぼみで水を飲む。人のけはいを感じてか、その場所で食べることはせず、くわえて木まで飛びモグモグ。次から次へと飛来しては、餌をくわえて去って行く。ハス池の周囲や境内にはこぼれ種と見られる、季節外れのヒマワリが至る所で芽を出している。開店と同時に餌を置くので、たくさんの小鳥に会いたい人は午前10時すぎがお薦め。

前田貫主は「寺は心の洗濯に来る場所。鳥たちが極楽の庭で遊ぶ姿を見て少しでも心の癒やしにしていただければ」と話している。
午前10時~午後4時。不定休。詳細は同寺(℡073・444・1002)。

 

天空かふぇのカウンターからの景色