ライフラインを総点検 県が災害に備え代替機能確保へ

和歌山市の六十谷水管橋が崩落し、広域断水が発生した問題を受け県は12日、県内全域のライフラインについて、災害などの発生時に全体が機能不全にならないよう、施設の耐久性とともに複数化などの代替機能、ネットワークが確保されているか点検を行うと発表した。今月中に市町村や国、民間企業などと連携して点検プロジェクトチームを設置する。

点検の対象は、電気・ガス・水道、公共交通、通信網、放送局、道路、河川、海岸、ため池など。自然災害や事故などが発生した場合、被害の拡大が予測されるボトルネックとなる部分を抽出し、対応策を検討する。

プロジェクトチームは県、県教育委員会、県警、市町村、国の機関、ライフラインに関わる企業などで構成し、10月中の設置と点検項目の策定を進める。事務局は県危機管理局。

11月にはライフライン施設の点検を実施し、12月から来年1月にかけて、点検結果に基づいて対応策を整理。長期的な対応が基本になる見込みだが、緊急な対応が必要な箇所が見つかった場合は、来年度の県予算で事業費を確保することも想定している。

今回の広域断水では、和歌山市の紀の川北部地域への送水ルートが同水管橋のみだったことが問題点として指摘されている。複線化は以前から市も検討課題としながら、実施されていなかった。

仁坂吉伸知事は12日の定例記者会見で、複線化が行われてこなかった背景として「財政のつらさ」があると指摘。紀の川北部にあった浄水場が効率性の観点から休止されたことにもふれ、「財政の問題、効率性の追求は長い目で見ないといけなかったかなと思う」と述べた。

崩落した水管橋については、市が複線化を含めた本格復旧の在り方を検討しており、仁坂知事は「(ライフラインの在り方の検討を)全県、全ジャンルに及ぼしたのが今回の点検だ」と話した。

ライフライン点検について説明する仁坂知事

ライフライン点検について説明する仁坂知事