つり材の破断が要因か 調査委員会が初会合
六十谷水管橋崩落による和歌山市北部の断水について、専門家による調査委員会の初会合が21日、勤労者総合センターで開かれ、崩落現場の視察も行われた。崩落の要因は、つり材の破断により橋が管路を支えきれず、全体のバランスが崩れたとの見方で、4人の委員はおおむね一致した。
委員は、和歌山大学システム工学部教授の江種伸之氏、神戸大学大学院工学研究科准教授の鍬田泰子氏、日本水道協会工務部副主幹の剣持光信氏、阪神水道企業団工務課長の中安眞司氏の4人で、鍬田委員が座長に就任した。
初会合では、市企業局がドローンで撮影した映像などを示し、水管橋の残された部分のつり材に4カ所の破断が確認されたことなどを説明。本復旧の案として、橋脚間に七つのアーチがある水管橋の構造のうち、崩落した中央と両隣の三つを現状と同じ形式で架け替え、残る四つは点検の上で部材の交換や修繕を行う計画を示した。
崩落現場を紀の川南岸から視察した委員らは、「崩落箇所にもつり材の破断が起こっていた可能性を否定できない」「残存部分にも激しいさびが確認できた」などと意見を述べ、つり材の腐食、破断が崩落の要因の一つとの認識で一致。鍬田座長は、腐食が進んだ原因については「雨水や鳥のふんなどさまざまに考えられるが、特定できるものではないと思う」との認識を示した。
現状と同形式で行うという市の本復旧案についても、4人の委員はおおむね肯定的だったが、江種委員は「復旧後の維持、メンテナンス、検査体制をセットで考えてもらいたい」と要請した。
鍬田座長は、つり材の破断箇所によって橋の構造にどのような影響が出るかを強度計算するなど、データを残す重要性を指摘。同形式の架け替えでも、つり材が腐食しにくい取り付け方法などの検討を求めた。さらに、仮水道管の設置による六十谷橋の全面通行止めを早期に解消する方法がないかも探るよう要望した。
第2回の調査委員会は、崩落した水管橋の部材を紀の川から引き上げた後に開く予定。