和歌山地方・家庭裁判所 谷口園恵所長が着任
和歌山地方・家庭裁判所所長に10月8日付で着任した谷口園恵所長(58)が8日、和歌山市二番丁の同地裁で就任記者会見を開き、「裁判所の職員が一丸となり、利用者にきちんと根拠を伝え、納得が得られるようさまざまな環境整備に努めるとともに、司法に寄せられてきた期待と信頼を維持し、高めることに力を尽くしたい」と抱負を語った。
谷口所長は東京都出身。一橋大学法学部を卒業した後、1989年に東京地裁判事補として着任。その後は法務省民事局参事官や最高裁調査官、東京高裁判事など、前職の横浜地家裁川崎支部長を経て現職。主に民事裁判を担当してきた。
東京生まれの東京育ちで人口過密な環境で人生を過ごしてきたといい、和歌山での新生活について「毎朝、紀伊の美しい山並みを眺めながら目を覚まし、すがすがしい気持ちで一日を始められることに喜びを感じている」と話した。
好きな言葉は「一期一会」。「多くの裁判当事者にとっては一生に1度の裁判で、一生に1人出会うだけの裁判官」と話し、「出会い次第で、その人にとって司法が信頼に足りる存在であるかどうかという評価が定まってしまうと思うと身が引き締まる。その思いを常に忘れることなく、真摯に取り組んでいきたい」と述べた。
民事事件は一通り担当してきたといい、これまでに関わった印象深い出来事として、顔を合わせるのも難しいほど対立していた両親が子どもの面会交流について争う事件を回顧。
当事者双方の合意形成が難しく、話し合いは無理だろうと諦めかけた時、心理学を専門とするベテランの家裁調査官からアドバイスを受けた。当事者の合意を阻害している心理的な要因や解消方法の観点から手順を踏んで実践したところ、双方が子どものために建設的な話し合いに応じ、最終的には子どもの希望にかなった形での面会交流が実現したといい、「異なる専門職域の職員が一緒に働く家庭裁判所の機能を改めて実感した」と話した。