崩落箇所の引き上げ作業進む 六十谷水管橋

和歌山市の紀の川北部地域約6万世帯が断水する原因となった六十谷水管橋の崩落箇所を撤去する作業が始まった。12日に作業が報道陣に公開され、ダイバーが水中で切断したアーチなどの部材が、台船上のクレーンで引き上げられた。市は、撤去作業を今月中に終え、本年度内に架け替え工事に着手したいとしている。

昨年10月3日の崩落から3カ月が経過し、水管橋の本復旧に向けた作業が本格化している。市は、水管橋の七つのアーチのうち、崩落した中央部と両隣の三つの構造を架け替え、残る箇所を修繕、補強する方針。台船による崩落箇所の撤去と、架け替え工事に必要な仮桟橋の設置が同時並行で進められている。

10日に台船の設置を終え、11日に撤去作業を開始。崩落した全長60・8㍍、重さ67㌧の部材のうち、アーチ部を四つ、水管部を五つに切断し、つり上げ能力90㌧のクローラークレーンで水中から引き上げる。

12日に公開されたのはアーチ部の引き上げ作業で、約20人が作業に当たった。ランス棒と呼ばれる器具を使い、ダイバーが深さ4~6㍍の水中で部材を溶断し、ワイヤーを取り付けた後、クレーンでつり上げた。

引き上げた部材は北岸に運び、さらに細かく切断し、保管場所の加納浄水場へトラックで運ぶ。

市は2月中に専門家による第2回調査委員会を開き、引き上げた部材を調べ、崩落の原因について意見を聞く。

市企業局上・工業用水道管理課の得津雅夫課長は「今のところ撤去工事は順調に進んでいる。年度内に本格的な架け替え工事に入り、出水期の6月中旬までに終えたい」と話している。

 

崩落した六十谷水管橋のアーチ部を引き上げるクレーン