各界の功労たたえて 春の褒章に県内8人
2022年春の褒章受章者が29日に発令される。和歌山県関係の受章者は66~79歳の8人(男性6人、女性2人)。内訳は、各分野の業務に精励して模範となる人に贈られる黄綬が2人、公衆の利益や公共の事務に尽力した人に贈られる藍綬が6人。新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、拝謁は行われず、各省庁での伝達式は検討中となっている。
今回を含めた県内の受章者総数は、男性990人、女性132人、3団体の計1125(黄綬504、藍綬610、緑綬5、紫綬6)となる。
晴れの受章者は次の皆さん。
【黄綬】上野山正明(72)元㈱上野山塗工所代表取締役、有田市箕島▽仲修美(66)㈱古部組社長、日高川町山野
【藍綬】狩谷典男(71)元県電気工事工業組合理事長、御坊市藤田町藤井▽島本忠生(79)行政相談委員、岩出市金池▽田中純子(66)調停委員、和歌山市土佐町▽南條朋子(67)調停委員、同市下町▽林男(71)保護司、同市芦辺丁▽船橋静雄(72)民生・児童委員、同市島
住民に寄り添う調整役
岩出水栖郵便局長を退職した2005年、総務大臣から行政相談委員に委嘱され、市民の要望、相談に対応してきた。行政に関する課題を住民から吸い上げ、国や自治体に要望を伝える。改善が難しい場合でも、その理由や経緯などを人々に分かりやすく伝えるようにしてきた。
昔から調整役が得意だった。大学卒業後に勤めた行政機関でも、対立する意見や考えに耳を傾け、より良い解を導き出そうと地道に調査をし、意見を集め、提案してきた。
42歳で行政での仕事を辞め、岩出水栖郵便局を開局した。当時は最寄りの郵便局まで約4㌔もあり、高齢者の負担が大きかった地域に局ができたことに住民から喜びの声が上がり、うれしかった。
行政相談委員になってからも手腕を発揮。「市内の小川に架かる橋にフェンスがない」と住民から相談が寄せられた時には、「子どもの通学路で危ない」と迅速に対応。毎月の相談会以外でも、電話や立ち話でも困り事の話を聞いてきた。昨年からは、和歌山行政相談委員協議会の会長も務める。
「行政相談委員の存在をもっと知ってほしい」と島本さん。受章には「ありがたい気持ち。よく頑張った方かな」と照れながらほほ笑んだ。