高卒者の求人確保 県などが経済団体に要請
和歌山県や和歌山労働局は9日、県内の経済5団体に対して新規高校卒業予定者の求人確保を要請した。
和歌山市七番丁のダイワロイネットホテル和歌山で、県教委の宮﨑泉教育長が各経済団体の幹部を前に、「県内経済は長引くコロナ禍で依然として厳しい状況にあるが、県内産業を維持、発展させていくためには若い人材の採用・定着がますます必要」と説明し、昨年度から導入した「複数応募制」で新規高卒者の早期離職の低減につながることを期待。
本年度も就職希望の全ての高校生を対象にした応募前企業説明会を県内4会場で分散開催するとし、「早期に求人票を提出いただき、一人でも多くの県内新規高卒者の採用をお願いしたい」と呼び掛け、県商工会議所連合会の田中一壽常任幹事に要請文を手渡した。
続いて開かれた意見交換会には県高校進路指導研究会の会長で、海南高校の川久保尚志校長も出席。同校では昨年度、2校舎と定時制課程を合わせて22人が就職し、うち1人を除く全員が県内企業に就職したことなどを報告した。
県経営者協会の児玉征也専務理事は「経済界の先行きは見通せないが、企業側にも労働力不足が十分伝わり、昨年よりも求人数は増えてきている」と話し、田中常任幹事は「生徒数の減少が人手不足につながるので、企業側としてはことし、来年の経済状況よりももっと長い目で見て採用活動に取り組んでいきたい」と意気込むなど、積極的な意見交換が行われた。
県などによると、昨年度の新規高校卒業者の県内求人倍率は2・15倍。県内就職者数は1013人で、就職者数に占める割合は79・7%だった。就職後3年以内の離職率は過去10年以上、約4割で推移しており大きな課題となっている。
来春の県内高校卒業予定者に対する求人の受け付けは6月1日に始まり、7月1日からは学校への求人提示、9月16日からは採用選考が始まる。