和歌山への移住支援 コロナで地方に関心

新型コロナウイルスの影響で、都市から地方への移住者が増えている。人口減少や少子高齢化が深刻な和歌山にとっては大きな好機。首都圏から地方への移住を支援する認定NPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京都千代田区)では、和歌山県を含む44道府県1政令市の相談窓口を設け、専属の相談員を配置している。同センターに足を運んでみた。

同センターでは移住に関するパンフレットや資料を常設し、地方住民との交流の機会を図っている。

ことし1月、総務省が発表した2021年の人口移動報告によると、東京都23区では転出した人が転入を上回る1万4828人の「転出超過」となった。

同センターによると、首都圏に住む20代から40代を中心に移住の相談件数が上昇。同センターの他、大阪にある「大阪ふるさと暮らし情報センター」(大阪市中央区)でも和歌山への移住に関心が高まっているという。

ふるさと回帰支援センターのまとめによると、和歌山の移住相談窓口への来所者は、20年度に相談件数は全国8位、セミナー参加者は全国トップを記録した。21年度には相談件数が12位、セミナー参加者が7位と後退したが、全国的に上位で、依然として高い人気を誇る。

同センターの高橋公理事長(74)は、和歌山の人気の理由を「官民挙げて移住支援に力を入れており、役場だけでなく移住者受け入れに積極的な地元住民の協力を得ているため」と分析。和歌山で新たに仕事を探す人には、キャリアアドバイザーの小熊裕美子さん(33)が、毎週火・金曜日、窓口で自己理解から転職についてのアドバイスまで、さまざまな相談に乗ってくれる。小熊さんは「居心地の良い職場を一緒に探していきたいです」と話している。

県移住定住推進課の角田幸弘主事(28)によると、県内の移住推進市町村では、移住希望者の相談に乗ってくれる「ワンストップパーソン」や、地域住民・先輩移住者などで構成される「受入協議会」と連携して、移住者の受け入れを進めている。支援を受けた移住者は年々増え、15年度に移住した世帯数は113世帯だったのが、19年度には165世帯に上昇。移住者数も比例して223人から278人に増加した。

新型コロナの感染拡大前は、和歌山での暮らしを、より身近に感じてもらうための「わかやま田舎暮らし現地体験ツアー」も人気が高かったという。また、移住者向けに起業補助や空き家補助金などの各種奨励金、空き家情報を提供してくれる「空き家バンク」も充実している。

成果は数字にも表れている。20年から統計を開始した市町村の住民窓口アンケートによると、5年以上の定住を意思表示した移住者は、和歌山市で102人、紀の川市で129人に上り、特に子育て世代の20~30歳代から支持を集めているという。

県では今後も地域に新たな活力を呼び込むため、移住の前後にわたって総合的に支援していく。

移住相談窓口の角田さん㊧、小熊さん

移住相談窓口の角田さん㊧、小熊さん