伏虎中の証し残したい 卒業生の願い石碑に

昨年10月に完成した和歌山城ホール(和歌山市七番丁)の西側に、市教委が設置した「伏虎中学校跡」を示す石碑と、同校の歴史や校歌が書かれたパネルがある。卒業生の一人で、6期生同窓会役員の会長を務める垣本博司さん(84)は「母校の存在を残してくれて本当にありがたい」と感謝。「和歌山城が一望できる、こんないい場所は他にないので、市民みんなの憩いの場所になって良かった」と竹馬の友と共に〝学びやの新たな姿〟を喜んでいる。

同校は2017年4月、城北小学校用地に開校した伏虎義務教育学校への統合により、同年3月に閉校し、71年の歴史に幕を下ろした。1953年卒業の垣本さんら6期生が在学当時は、市内の五つの小学校(本町、雄湊、城北、中之島、楠見)から生徒が集まってきており、1クラス約60人の12クラス。全国でも有数のマンモス校として知られていたという。

「いくつになっても、会えば童心に帰れる」とほほ笑み合う6期生は、30年ほど前から2年に1度、平均100人が集う同窓会を開催。同窓会前には、20人ほどの役員が集まる役員会を開いている。

2017年の役員会では、ニュースで知った母校移転についての話し合いが持たれ、「何とか母校の存在を残したい」と一致団結。役員らは市内の公園や学校の石碑などを見て回り、「史跡として一つの記念碑を建ててもらいたい」との思いを強くした。

同年11月には、尾花正啓市長と当時の原一起市教育長に願いをしたためた文書を直接手渡した。「もう忘れられたんかな」と思い始めた頃、垣本さんのもとへ市教委から石碑を建てるとの連絡があり、和歌山城ホールの完成とともに「どんな石碑ができるのかメンバー一同楽しみにしていた」(垣本さん)。

パネルには、同校の歩みや同窓会で6期生一同が歌うという校歌も記されており、役員らは「立派な記念碑を建てていただき、本当に感謝している」「ここに伏虎中学校があったと後世に伝えられる」と喜び合う。

コロナ禍でここ数年、同窓会は開催できていないが、次に集まれた時には「県外に住む仲間や当時の先生たちにも披露したい」と心待ちにし、役員らは石碑とパネルを前に、中学時代の思い出話に花を咲かせていた。

笑顔で石碑とパネルを囲む垣本さん(右から4人目)ら6期生の役員メンバー

笑顔で石碑とパネルを囲む垣本さん(右から4人目)ら6期生の役員メンバー