供給に制約も持ち直し 県内の経済情勢

和歌山財務事務所は、2022年7月判断の県内経済情勢報告を発表。総括判断は「持ち直しつつある」とし、前回の4月から据え置いた。主要項目の判断では、個人消費と生産活動は横ばいだったが、雇用情勢は上方修正し、企業収益は増収見込みに転じた。

情勢報告は、個人消費や設備投資など9項目の基調判断を総合して総括判断を行っている。

個人消費の判断は「緩やかに持ち直している」。百貨店・スーパーは、外出機会の増加により衣料品の売上は増加しているが、内食需要に落ち着きがみられ、飲食料品の売上は減少している。コンビニエンスストアは、観光地の店舗で客数が増加。ドラッグストアの売上は堅調に推移し、家電大型専門店は足踏み状態。乗用車の新車登録届け出台数は、普通車、軽自動車とも前年を下回っている。

生産活動は「一部に供給面での制約の影響がみられるものの、緩やかに持ち直している」。機械工業では、汎用(はんよう)機械が海外向けを中心に需要は堅調だが、部品供給の制約から生産量が減少。生産用機械の生産量は増加している。化学工業は家庭用製品や電子材料向け製品の需要が堅調。鉄鋼業はエネルギー関連製品の需要が増加している。

雇用情勢は「持ち直しつつある」。有効求人倍率が4、5月と連続で上昇し、新規求人数も宿泊業、飲食サービス業、小売業などを中心に増加がみられ、堅調に推移している。

企業からは、「感染症による行動制限がなかったため客数が増加している。外出機会の増加に伴い、衣料品、特に婦人服が好調」(百貨店・スーパー)、「受注は好調だが、部品不足により生産台数が確保できず、納車が追い付いていない状況が続いている」(自動車販売店)、「半導体メーカーからの受注が堅調で生産量は高い水準を維持している一方、原材料価格の高騰で収益は悪化している」(化学工業)などの声があった。

先行きについて和歌山財務事務所は、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果もあり、持ち直しが期待されるとする一方、「ウクライナ情勢の長期化などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に加え、感染症による影響や金融資本市場の変動などによる下振れリスクに十分注意する必要がある」としている。

県内経済情勢の主要項目の判断(7月)

県内経済情勢の主要項目の判断(7月)