【特集】鶴保庸介参議院議員 5期目始動
政治は結果、現場を変える
鶴保議員の5期目始動
7月の第26回参議院議員選挙で、自民党の鶴保庸介議員(55)が全国トップの得票率72・06%で5回目の当選を果たした。4期目には内閣府特命担当大臣を経験しており、参議院の重鎮議員の一人として、多くの県民からの期待を背に、5期目の政治活動を開始した。
長く掲げ続けているキャッチフレーズは「未来改革」。未来(あす)のために、現在(いま)を変える政治を目指し、さまざまな課題に取り組んできたが、その背景には、ふるさと和歌山の各地を巡る中で聞いてきた切実な声がある。
第一次産業を悩ませている鳥獣被害対策では2021年6月、議員立法による改正鳥獣被害防止特別措置法の成立に尽力。これにより、有害鳥獣の捕獲強化、捕獲した鳥獣の適正処理、野生鳥獣肉(ジビエ)としての有効利用、従事者の人材育成の充実強化などが推進される。
大手ハンバーガーチェーンなどに働き掛け、ジビエバーガーの提供も実現。捕獲した鳥獣をジビエとして加工し、地域のレストランや店舗での提供を図る取り組みがさらに広がれば、捕獲から処理に至るまでの過程の全てが地域資源として活用できる。
自身の後援会会報につづった一文で鶴保議員は「こうした循環型の対策は地域に持続的な観光資源と産業を生み出し、新たな地産・地消のモデルとして全国展開していくことができると考えています」と意義を語る。
毎日の生活に必要な食料品や日用品の調達が困難な「買い物難民」の存在を地方で目にし、感じた課題では、地域の流通、情報発信、観光の拠点、地産地消を実現する飲食店や販売店の存在が求められているということがあった。
そこで、全国に1000カ所以上ある「道の駅」に多面的な機能を持たせ、利便性の一層の向上を図るため、「道の駅議員連盟」を設立。
各地域で複合的な機能を持つ「点」として道の駅を整備し、交通インフラである「線」としての道路で結び付けることにより、地域の総合的な活力を「面」として引き出していくことができると考えている。
議連の働き掛けにより21年6月には、地域の防災拠点としての役割も担う「防災道の駅39」が選定され、県内からは「道の駅すさみ」(すさみ町)が選ばれた。選定により、防災機能の整備・強化が交付金で重点支援されることになり、道の駅が地域を盛り上げる機能だけでなく、地域の安全・安心の拠点となることが期待される。
地方が国の主役になる
ドローン(小型無人航空機)の有用性にも早くから注目し、空撮や土木測量、設備点検など、利用が進んでいる分野に加え、多面的な活用も推進してきた。
荷物配送への利用は、実用化が大いに期待される分野の一つ。山間地などへの物資の輸送、集配ができれば新たな物流網の整備につながる。農林水産業の効率化や生産性向上への活用、防災対策などへの利用も重要であり、さまざまな実証実験の推進、視察を重ねてきた。
和歌山などの地方においては、過疎化対策の重要な要素として期待される技術革新であり、ライセンス取得などの制度面の整備にも尽力し、今後も、より一層生活に役立つ形に仕上げていくことを目指している。
長く取り組んできた観光産業の振興は、新型コロナウイルスの世界的流行で深刻な打撃を受けたが、アフターコロナを見据え、観光関連事業者の支援、徐々に回復が期待されるインバウンド(外国人訪日客)への対応、ワクチンパスポートの利活用など、国内観光産業の再生に取り組んでいく。
この他にも、道路などのインフラ整備、再開された商業捕鯨の自立促進、漁業振興など4期24年間で手掛けてきた課題は多岐にわたる。
今回の選挙戦では「和歌山が変わり、活力を取り戻すことによって、日本の地方が変わる。日本全体が元気になっていく」と訴えてきた。地方が国の主役として力を発揮できるよう、全国一律の基準ではなく、和歌山の実情にあった仕組みづくりを進める。
「政治は結果」をモットーとし、「発言したとか、提案したとかは何の意味もない。現場が変わり、意識が変わり、行動が変わらないと政治は何の意味もない」と思っている。これからも現場を変える「結果」にこだわる。
プロフィル
1967年2月5日生まれ
東京大学法学部卒
〈政治家としての歩み〉
1998年7月 第18回参議院議員選挙で初当選(当時、選挙区史上最年少)
2002年 国土交通大臣政務官(2期)
2004年 参議院議員選挙再選
2005年 自民党水産部会長
2006年 参議院厚生労働委員長
2008年 党政務調査会副会長
2010年 参議院議員選挙3選、参議院決算委員長
2011年 参議院議院運営委員長
2012年 国土交通副大臣
2014年 党参院政策審議会会長(2期)
2016年 参議院議員選挙4選
2016年 第3次安倍第2次改造内閣で内閣府特命担当大臣、沖縄及び北方対策、クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策、情報通信技術(IT)政策担当
2017年 参議院資源エネルギーに関する調査会会長、党鳥獣被害対策特別委員会委員長
2021年 参議院国際経済・外交に関する調査会長
2022年7月 参議院議員選挙5選