RORO船が定期就航 10月~和歌山下津港

貨物を積んだトラックやトレーラーの荷台部分を丸ごと輸送できる「RORO(ローロー)船」が10月8日から、和歌山下津港(和歌山市西浜)に毎週入港する。RORO船の定期就航は県内で初めて。ドライバー不足への対応や二酸化炭素(CO2)排出削減などのメリットがあり、物流の効率化が期待される。

RORO船とは「Roll on(ロールオン)・Roll off(ロールオフ)船」の略称で、運転車両と貨物車両(シャーシ)を切り離し、シャーシだけを海上輸送する大型貨物船。

県によると、トラックやトレーラーが船に乗り入れられるため、クレーンなどによる貨物の積み下ろしが不要で、効率的な作業ができる上、トラックなどの陸上輸送で課題となっている長時間、長距離輸送を抑制し、ドライバー不足を解消することにつながり、CO2の排出量も削減できる。

定期船を運航するのは大王海運㈱(愛媛県四国中央市)。同社は2月に和歌山下津港で事業者向けの説明会を開き、6月に行った3回のトライアル輸送ではシャーシ63台が集まる実績があり、定期就航を決定した。

使用する船は「第五はる丸」と「第六はる丸」で、いずれも全長179・9㍍、1万2404㌧。20㌧のシャーシ160台と乗用車250台を積載できる。

航路は、三島川之江港(愛媛県)から堺泉北港(大阪府)、和歌山下津港を経て千葉港(千葉県)に至る。和歌山下津港への寄港は上りのみで、和歌山―千葉を約15時間で結ぶ。

県は、県内企業などにRORO船の就航を周知し、利用促進を図る。県内産業や物流の活性化、効率化への寄与に加え、災害時に道路網の寸断などの影響を受けにくい輸送手段を確保することにもなり、期待している。

仁坂吉伸知事は、環境負荷の低減やドライバーの労働改善などの観点から「RORO船の価値は高まっている」とし、「大阪や神戸の港は混んでいるので、特に大阪南部の荷物などは、和歌山で積み込めばいいんじゃないか」と話した。

 

和歌山下津港に定期就航するRORO船