特殊詐欺防止 コンビニ店長らに感謝状
特殊詐欺(架空請求)被害を未然に防いだとして、和歌山東署は8日、和歌山市のローソン和歌山中之島店の店長、西本芙容(ふゆ)さん(27)と、同店のアルバイト店員ら3人に感謝状を贈った。
同署などによると、8月2日午後8時ごろ、同店を訪れた50代の女性から「3000円のプリペイドカードを買いたい」と言われ、店員の一人が店内の端末機械の操作を教えていたところ、女性がスマートフォンの操作もおぼつかないことを不審に思い、購入理由を質問。
女性が「3000円を払うと、ローソンの駐車場で50万円がもらえる」と話したことから、特殊詐欺を疑い、もう一人の店員と共に女性を説得して帰宅を促した。
同日午後9時45分に出勤した西本さんは、2人から引き継ぎを受けており、翌3日午前2時10分ごろに訪れた女性客が「3000円のプリペイドカードを買いたい」と話したことから、同一客と確信。
購入理由を聞き、「特殊詐欺だ」と伝えるも、女性が購入意思を変えなかったため、西本さんが端末機械の操作で時間稼ぎをしている間に、もう一人の店員が同署に通報した。
同署で行われた贈呈式には、4人を代表して西本さんが出席。左向伸次署長が「常に未然防止の意識を持っていただきありがたい」と感謝状を手渡すと、西本さんは「詐欺に遭ってしまってからでは遅いので、未然に防げて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
声掛けや共有奏功 ことし認知件数急増
同署によると、昨年同署管内の特殊詐欺の認知件数は13件。被害総額は約2000万円。ことしは8月末時点ですでに12件、約2700万円に上るという。
急増する特殊詐欺被害を未然防止するため、同署は昨年、独自施策として掲示物の「特殊詐欺防止ポップ」を作成。㈱ローソンのフランチャイズ店を運営する㈱山藤の山田敦司代表が協力し、同署管内全てのローソン約30店舗にポップを掲示している。
西本さんは普段から、特殊詐欺の疑いがある場合には同ポップを見せながら声を掛けたり、店全体で情報共有をしたりするとし、「それが良かったのかな」と笑顔。㈱ローソン近畿カンパニー近畿第2営業部マネジャーの大森泰豊さんは「今後も警察と連携しながら、町のセーフティーステーションとしての役目を果たしていきたい」と話した。