和歌山市で5人重軽傷 台風14号県内被害

台風14号は18日から20日にかけて日本列島を横断し、九州などを中心に各地に大きな被害をもたらした。19日午後に最接近した和歌山県内では、全域に暴風警報が発令され、和歌山市内で強風にあおられて転倒した5人が重軽傷を負った他、空き家の倒壊、道路の通行止めなどが発生し、公共交通機関の乱れは20日まで続いた。

18日午後7時ごろ、大型で非常に強い勢力で鹿児島市付近に上陸した台風14号は、九州全域を暴風域に巻き込みながら北上。中国地方を北東に進み、日本海に出た後、20日午前4時ごろには新潟市付近に再上陸し、東北地方を横断して太平洋上に進み、同日午前9時に温帯低気圧に変わった。

県によると、県内の1時間の最大雨量は、野竹法師(田辺市)と八斗蒔(日高川町)で31㍉、20日午前9時までの累積雨量は、野竹法師で324㍉、大杉(同市)で315㍉。最大瞬間風速は、友ヶ島(和歌山市)で40・9㍍を記録した。

県内の人的被害は、全て19日に発生した同市内の5人。午前11時55分ごろ今福で61歳女性、午後6時ごろ市小路で81歳女性が路上で風にあおられて転倒し、いずれも左足を骨折する中等症。同6時10分ごろには屋形町で68歳女性が駐車場で車のドアを開けた際に風で転倒し、右足を骨折する重傷。同2時35分ごろには雄松町で56歳女性、同6時20分ごろには中島で60歳男性がやはり風にあおられて転倒し、軽傷を負った。

加太で空き家倒れる ガードレール破損も

同市加太では19日午前8時55分ごろ、市道加太47号でガードレールが破損し、一時、全面通行止めとなった。現場は淡嶋神社から南の海沿い約750㍍付近。高波によりガードレールが約20㍍にわたり道路側に倒れた。20日午前9時ごろから業者が撤去作業をし、破損部分にロープを張るなどした。

高波でガードレールが破損した海沿いの和歌山市加太の市道(20日午前9時40分ごろ)

高波でガードレールが破損した海沿いの和歌山市加太の市道(20日午前9時40分ごろ)

また、加太海水浴場の南西約250㍍付近の築100年以上の空き家の一部が強風で倒れて道路にはみ出し、一時通行止めとなった。

近隣住民によると、広さは約100坪で10年以上空き家となっており、老朽化が進んでいた。

19日午後5時ごろ、空き家を囲っていた木製の塀が強風で破壊され、中にあった柱などが流れ出し、道路をふさいだという。気付いた近隣住民らが撤去作業に当たった。

建物関係の被害ではこの他、同市中之島の市営紀和駅団地で屋上防水シートが破損し、湯浅町湯浅で空き家が一部損壊した。同市では3カ所で道路のカーブミラーの破損も確認された。

JRは計画運休実施 20日朝から順次再開

JR線は19日から計画運休を行い、20日も始発から運休を続けていたが、順次再開した。

同日午前8時30分ごろ、きのくに線の発着を示す和歌山駅の電光掲示板には「調整中」の文字が表示され、駅員が切符の払い戻しや列車の運休をマイクでアナウンスするなど、対応に追われた。運行再開を期待して訪れたが、掲示板を見て引き返す利用者の姿も見られた。

友人2人と白浜へ旅行に行く途中という大阪府豊中市の大学3回生の男性は、「昨日はここまでしか電車が動いておらず、急きょ駅周辺で宿泊した。朝には動いているかと思って来たが、残念。もうしばらく待ちます」と肩を落とした。

和歌山駅前の友田町では19日、街路樹の枝が折れ、一時、歩道をふさいだ。

折れたのは、長さ8㍍ほどのケヤキの枝。同日午後2時30分ごろ、通報を受けた警察から県に連絡があり、委託業者が枝をノコギリで細かく切ってトラックで運び撤去した。けが人はなかった。

当時、市内では暴風警報が発令中で、同2時21分に最大瞬間風速33・3㍍を観測した。