環境に配慮のSDGs弁当 近大付属中×信濃路
近畿大学付属和歌山中学校(和歌山市善明寺、川合廣征校長)の3年生は㈱信濃路(同市松島、西平都紀子代表取締役社長)協力のもと、弁当の開発・商品化を進めている。このほど生徒のアイデアを再現した「SDGs弁当(仮名)」の試作版が完成。同社本部で初披露された。生徒を代表して出席した11人は、デザートの試作や弁当の試食をした後、さらにより良い弁当に仕上げようと積極的に意見を交わし合った。
同校の3年生185人は1年生の頃から、総合学習の一環で国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)について学ぶ中、市内4カ所の浜「片男波」「浜の宮」「友ヶ島」「磯の浦」に出向き、生態系に深刻な影響を与えるマイクロプラスチックの収集や清掃を行ってきた。11月には最後の5カ所目として、加太でのビーチクリーンを予定している。清掃活動を通し、生徒からプラスチックを一切使わない容器で、和歌山の恵みを詰め込んだ地産地消の弁当を食べたいと、企画が持ち上がった。
そこで同市SDGs推進ネットワークに加入する企業から同社を見つけ、生徒自らが電話で協力を依頼。同社が快諾し、何度も打ち合わせを重ねながら、クラスごとに考案したメニューの〝いいとこどり〟をしたという試作弁当がついに完成した。
この日、同社本部のセントラルキッチンで、デザートの「みかん大福」を代表生徒らが試作。生徒らは大福の皮をのばして県産ミカンを置き、粒餡と、水と砂糖で煮詰めたミカンの皮を乗せて完成させた。
その後、試作弁当を初披露。ふたを開けた生徒らは「すごい」と笑顔で歓声を上げた。紙製の弁当容器の中には、県産の食材をメインにしたメニューがぎっしり。主食は鯛飯と梅干しご飯の2種類で、梅鶏の生姜焼きやマグロ竜田揚げ、大根の葉を使った青菜としらす、ポテトサラダ、みかん大福が詰まっている。
クラスで提案した鯛飯が採用されたという廣田蓮さん(15)は考案メニューの再現に「うれしかったし、めっちゃおいしい」と笑顔。「企業とタッグを組んで商品を作り出すという貴重な経験ができた」と喜んだ。試食後、生徒らはより良い弁当の完成に向け、ご飯の量や梅干しの種類などについてさまざまな意見を出し合った。
同社は今後、同弁当の店舗販売も視野に入れながら、生徒全員が1枚ずつ描いた弁当のラベル案を厳選。来月開かれる同社の役員会では、代表生徒らに弁当のプレゼンテーションをしてもらい、西平社長をはじめ役員らが試食し、完成品に仕上げていくという。