健康食のムクナ豆に着目 絆工場が塩の商品
和歌山県白浜町で農薬を使わずに自家栽培した「ムクナ豆」を加工し、商品の企画や販売を行う任意団体「絆(きずな)工場」(和歌山市雄松町)が、新商品「むくなの塩」(600円・50㌘)を発売した。代表の高林稔さん(60)はおにぎりや天ぷら、サラダなどに手軽に振り掛けられる同商品で「パーキンソン病やうつ病、(神経の難病である)瀬川病などに効果があるとされるL-ドーパを日常的かつ自然に取り入れてもらえれば」と笑顔でPRしている。
ムクナ豆は、マメ亜科トビカズラ属に属する植物で、収穫量が多いことから「八升豆(はっしょうまめ)」とも呼ばれている。江戸時代ごろまでは沖縄や西日本を中心に栽培されており品種改良も進んでいたが、調理の扱いにくさからあまり栽培されなくなっていったという。
ところが近年、ムクナ豆に含まれるL-ドーパが、神経伝達物質のドーパミンを補給するのに有効なことが分かり、認知症予防をはじめ、パーキンソン病やうつ病、瀬川病の症状緩和、精力維持や体力向上の健康食として注目されている。
同団体もこうしたムクナ豆の特長に着目し、昨年から同町の遊休農地を利用して栽培をスタート。栽培には、引きこもりから社会復帰を目指す人や地域の若者らが参加し、加工には地域の高齢者が封入やラベル貼りを担当する。社会参加できる場、元気な高齢者が活躍できる場として、「人と人」「人と地域」「人と自然」の絆を大切にしながら地域活性化を目指している。
商品開発においては昨年12月、試行錯誤を重ねて独自の焙煎方法により、豆の風味や香ばしさが際立つ「むくな豆コーヒー」を発売。ことし6月には「絆工場」を立ち上げ、本格的に事業を始めた。以降、ギフト用のドリップコーヒーや、ほんのりと甘みが感じられる優しい味わいの「むくな豆茶」などに続く新商品「むくなの塩」が完成した。
豆を焙煎した粉末と塩をブレンドした同商品は、香ばしい風味で減塩対策にも有効とされるという。高林さん自身も日常的に取り入れている中で、豆の摂取による気力や活力を実感しているとし、「高齢者の方にもっと広げたい」と笑顔。「互いに気に掛け合う関係性を広げながら人と人とのつながりを強め、地域づくりにも貢献していきたい」と意気込む。
商品はオンラインショップの他、紀の川市貴志川町長山の「おいけのまど」でも店頭販売している。事前連絡で同団体事務所でも購入可。
問い合わせは平日午後以降、同団体事務所(℡073・481・2330)。