アンテナ高く声掛け 銀行員が特殊詐欺防ぐ
特殊詐欺被害を未然に防いだとして、和歌山西署は9月28日、㈱三菱UFJ銀行和歌山支店(和歌山市十番丁)の支店長代理の中河原英樹さん(51)と、窓口業務担当の松島妙子さん(52)に感謝状を贈った。
2人によると、8月1日午後2時ごろ、窓口業務を担当していた松島さんが、1人で訪れた60代の男性客がしきりにスマートフォンを気にしたり、振込用紙に記入したりしながら悩んでいる様子に気付き、声を掛けた。男性は「振込先の名前が分からない」「きょう振り込まないと」などと説明したため、松島さんは詐欺を疑い、中河原さんに報告した。
中河原さんが男性に詳しく話を聞いたところ、「サイトでの料金未払いで強制執行されそうになっていて、料金を振り込まなければならない」などと説明したため、詐欺と確信して同署に通報したという。
同支店で行われた贈呈式で、川上和彦署長から感謝状を受け取った中河原さんは「お客さまの動きをよく見て、アンテナ高く敏感に察知して報告してくれた松島さんの初動が良かった」とたたえ、松島さんは「お客さまのご資金を失わずに済んで良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
デジタル化が進む中、同行でもスマートフォンやパソコン、ATMなどを操作して客自らが取引する機会が増えているとし、中河原さんは「声掛けの機会が減る中で、感知して防ぐことがいかに大事かを改めて感じた」と話した。普段から顧客の動きを見て積極的な声掛けを心掛けているという松島さんは、「今後も臆することなく声掛けをしていきたい」と意気込んだ。
同署によると、昨年同署管内の特殊詐欺の認知件数は5件で、被害総額は約850万円。ことしは同日時点ですでに12件、約1600万円に上り、急増しているという。
川上署長は今回の未然防止について「本当に感謝している」と話し、「少しでもおかしいなと思うことがあれば、すぐに声を掛けていただき、警察にも通報いただければ、迅速に対応していきます」と協力を呼び掛けた。