伴走型で創業を後押し 支援機関が相談会

創業を考えている人を対象に、政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)和歌山支店と民間金融機関に向け融資を保証する県信用保証協会の専門スタッフによる相談会が、県内で初めて開かれた。創業前の段階から2者が協調し、創業相談から資金調達まで一貫してサポートすることで、創業後もスムーズに支援・相談にあたる切れ目のない「伴走型」を目指す。

相談会は、日本公庫和歌山支店が主催し、県信用保証協会が共催。17日から21日の5日間にわたり、開かれた。

両者は2015年5月に業務連携・協力に関する覚書を提携。ことし5月に2者の職員で行った意見交換会では「地元の地域活性化のために、県内創業者を増やしたい」と意見が出る中、「支援機関としてできるこことは何か」と話し合った結果、創業段階から2者が関わり、サポートしていく伴走型支援を打ち出した。

初の相談会に訪れたのは、5日間で計11人。日本公庫和歌山支店国民生活事業の魚住隆雄融資第二課長は「全体の創業者はコロナ禍前と同数程度」と現状を話し、県信用保証協会企業支援部の山本紘司経営支援課長は「これまでの勤務経験などを生かして、課題解決につながる事業を立ち上げる人が多い」と分析する。

最終日の21日は、和歌山市十二番丁の県信用保証協会事務所で相談会が開かれ、9月末に会社を立ち上げた、有田市の㈱Farmer‘s Managerの吉田亮社長が相談に訪れた。

2者の職員が、持参された創業計画書案をもとに、補助金の活用の有無や月の売り上げの根拠などを確認。地元農産物などの海外展開を考えている吉田社長からは、「L/C(信用状)に強い銀行はどこか」などの質問があった。

吉田社長は「創業に不安もある中、第三者の専門家に計画書の内容を相談できるのは心強い」と話し、「何度も同じ話をすることなく、一度で情報を共有できるのはメリット」と話していた。

魚住課長は「一機関だけでは限界がある」とし、「2者がスタートアップの段階から創業者に携わることが、事業者支援、ひいては地域活性化につながるのでは」と期待を寄せる。

2者は今後も相談会を開く予定。

創業者㊧の相談を受ける2者の専門スタッフ

創業者㊧の相談を受ける2者の専門スタッフ