世界農業遺産へ前進 有田・下津みかん栽培法
農林水産省は17日、「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」の世界農業遺産への認定申請を承認した。今秋をめどに認定機関である国連食糧農業機関(FAO)に申請書を提出し、現地調査を経て、2024年2月ごろに結果が発表される。
長峰山脈を挟んで隣接する有田・下津地域は、400年以上前から農家の手で独自の技術による石積み階段園が傾斜地に築かれ、自然条件を生かした多様な品種系統の導入と、貯蔵技術の駆使による長期間に及ぶミカンの安定生産、出荷を実現している。
下津地域は「下津蔵出しみかんシステム」、有田地域は「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」として、別々に日本農業遺産となっているが、二つを一体とし、世界農業遺産の認定を目指している。
両地域の市町や県、農協などは、昨年5月に推進協議会を設立し、同6月に農水省へ申請書を提出。今回の申請承認により、世界農業遺産認定へのハードルを一つ越えた。
推進協議会の会長を務めるJAありだの森田耕司組合長は「地域や農業に携わる人たちがいてこその歴史が認められ、喜ばしい。正式に認証されるように期待したい」と話した。