高齢者守れ 介護施設で特殊詐欺防止講習
特殊詐欺にだまされないようにと、和歌山市布施屋の通所介護施設「はっぴー&はーとⅢ」で1月31日、特殊詐欺被害防止講習会が開かれた。中出光男代表(73)が、自宅にかかってきた電話でだまされそうになったことをきっかけに開いたもので、施設の利用者や、近隣に住む高齢者約20人が参加した。
中出代表によると同月21日に自宅に「警察の者ですが、布施屋の中出さんですよね?」と電話があり、「ATMで張り込みをしていたら、あなたのキャッシュカードでお金を下ろしている人を見つけた。今カードはどうなっていますか?」と聞かれ、「妻が持っている。もしかしたら落としたのかもしれない。電話してあげてほしい」と携帯番号を教えたところ、電話を切られた。警察に電話したところ、それは詐欺だと指摘され「まさか自分のところに詐欺の電話がかかってくるなんて思っていなかった」という。
中出代表は「この地域には1人暮らしの高齢者が多い。詐欺に遭わないよう、みんなに知らせなければ」と警察に相談し、今回の講演会を企画。
講師は県警の特殊詐欺被害防止アドバイザーの石本省三さん(73)が務めた。
県警によると、昨年の被害認知件数、被害額は前年度の倍となっていること、詐欺の手口について特殊詐欺の手口や対策について説明した。犯人は1人暮らしを狙ってくるので、民生委員や社協職員などを名乗り「1人住まいでお困り事はないか」「家族は近所に住んでいるか」など、事前リサーチの電話には答えてはいけない。「新築介護施設に入居する権利がある」、「キャッシュカードを預かる」、「保険料を還付する」、「電子マネーを買って番号を送れ」――は詐欺なので、相手にしてはいけないと力説。
石本さんは「犯人は家族に相談するという言葉を嫌う。防ぐために確認と相談をしてほしい」と話し、ちょっと確認電話(フリーダイヤル0120・508・878=これはわなや)を紹介した。
中出代表は「きょう聞いた話を近所の人に話して広げ、手口をより多くの人に知ってもらい、詐欺被害に遭わないよう、地域みんなで協力していきたい」と話した。