地方議会・議員の重要性 PT座長として提言、立法

統一地方選挙が3月31日の県議選告示から始まります。
最近は、全国的に立候補者が少なく、いわゆる「なり手不足」で選挙が無投票や定員割れになる問題が、たびたび指摘されるようになってきました。このような状況を受け、以前に紹介しましたが、座長を務めた「地方議会の課題に関するPT」では、令和3年4月に地方議会・議員の果たすべき責務が格段に重要度を増していることを指摘し、政府や国会、地域の自治体・議会・議員でそれぞれが対応すべき事項を列記しました。
歴史的な転換期に臨んで、二元代表制の下では、首長だけではなく議会・議員にも従来以上の責務が求められると考えます。
またPTで立案した法律が、昨年12月の臨時国会最終日に議員立法で成立し、公布されました。自治体との取引が一定額までであれば立候補できるなど、請負禁止の範囲の明確化と緩和がなされ、なり手不足の一助になると思います。
さらに年末の12月28日、内閣府設置の第33次地方制度調査会の答申が岸田総理になされました。この調査会の審議は、「地方議会の位置付けや議員の職務等の法律上の位置付け」「首長と議会の権限のあり方」「各団体の課題と特性に応じた議会・議員の処遇等のあり方」「立候補に伴う休暇保証の法制化」などを議論し結論を得るよう、地方議会PTから政府に申し入れた提言に基づいて行われました。この答申を受け今国会には、地方議会の役割及び議員の職務等を明確化する法律案が政府から提出されます。
憲法は国会を「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関」「全国民を代表する選挙された議員でこれを組織」と定める一方、地方議会は「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議決機関として議会を設置」とするのみです。そして、地方自治法でも「普通地方公共団体に議会を置く」とするだけで、地方議会の位置付けや議員の職務等の法律上の位置づけは明確ではなかっただけに、今度の法律は大きな一歩となります。
今後、地方議会を取り巻く状況は、厳しい局面を迎えると思います。地方分権時代を迎え自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大していくと同時に、地域では人口減少や高齢化の進行などによりさまざまな面でダウンサイジングを余儀なくされます。当然、自治体の経営資源はますます制約され、さらに住民ニーズや地域課題は多様化・複雑化し、地域における合意形成が困難な課題が増大します。そうしたなかで地方議会は首長とともに地域の多様な民意を集約し、広い見地から地域社会のあり方を議論し、自治体の意思決定を行っていくことが求められます。
またSociety5.0時代を迎え、さまざまな技術革新を活用することで地域課題に対応するとともに、社会の大変化に対応して安定して豊かな地域社会を築いていかねばなりません。
以上のような状況を考えると、地方議会と議員の果たすべき責務は従来に比して格段にその重要性を増していると思われるだけに、その議員を選出する地方議員選挙も極めて重要度を増しています。今後も地方議会・議員を取り巻く課題の議論を深めてまいります。