特殊詐欺防止広報大使に キュウソネコカミ
「特殊詐欺ぶっとばす」――。こぶしを握り締め、声をそろえて意気込むのは、若い世代に人気の5人組ロックバンド「キュウソネコカミ」のメンバー。和歌山県警は15日、5人を「特殊詐欺被害防止広報大使」に委嘱した。ボーカルとギターを担当するヤマサキセイヤさんが御坊市出身という縁があり、受け子や出し子として特殊詐欺に加担する若者をなくし、被害の減少を目指す。
同日、和歌山市和歌浦南の和歌の浦アート・キューブで委嘱式が行われ、県警本部の髙砂(たかす)浩之生活安全部長が「強力なメッセージ発信が、若い世代を中心に多くの県民に伝わることで、特殊詐欺に関する意識や防犯力を高めることを期待している」とあいさつ。メンバー一人ひとりに委嘱状を手渡した。
式には県警のマスコットキャラクター「きしゅう君」と共に、同バンドのアイコンとして親しまれている「ネズミくん」も登場。ヤマサキさんは、県警からの協力依頼に「最初はドッキリかと思った」と笑顔で振り返り、「特殊詐欺に遭われる方や、特殊詐欺を行う側にまわってしまう人が一人でもいなくなるように、情報発信に協力していきたい」と話した。
また、受け子や出し子などの「闇バイト」に手を染めるケースが増えている若者に対して「おいしい話はないぞ」「簡単に金はかせげない」「自分を見失うな」とのメッセージを送った。
委嘱期間は2年。同バンドによる啓発動画を製作し、県警公式ユー・チューブチャンネルで公開予定の他、県警との共同で「きしゅう君」と「ネズミくん」がコラボレーションしたポスターやTシャツも作製。ライブやイベント、SNSなどを通して積極的に啓発の情報発信をしていく。
県警によると、県内の昨年の特殊詐欺被害認知件数は102件、被害額は約1億7300万円で、いずれも前年の2倍以上となっている。ことしは1月の1カ月間だけで9件、約1億2500万円の被害が確認されており、抑止対策に力を入れている。