日本を代表する「とちおとめ」

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前号より那賀地方を中心に県内各地で栽培される「いちご」を取り上げている。今週は、12月上旬にシーズンのトップバッターとして店頭に並ぶ「とちおとめ」を紹介したい。
とちおとめは、栃木県農業試験場で育成され、1996年に品種登録されたいちご。「久留米49号」というサイズが大きく多収性がある品種と、大果で甘い「栃の峰」という品種を掛け合わせてできた。女性のように美しく、多くの人に親しみを持ってもらえるようにという思いを込めて命名されたという。東日本におけるシェアで1位となるほど収穫量が多く、一般的な品種である。
形は円錐形で果皮は光沢があり、果肉まで赤く染まっている。食してみると、糖度が高く酸味も程よくある。果汁が豊富でありながら果実がしっかりしており、日持ちが良い特徴がある。
2021年度の調査によると、とちおとめの作付面積は全国1位で全体の約24%を占める。店頭でよく見掛ける「あまおう」は約10%で、「紅ほっぺ」は約8%となっており、とちおとめが日本を代表する品種であることがよく分かる。
また、栃木県はいちごの作付面積が全国1位(約10%)で、とちおとめの他にも大粒が特徴の「スカイベリー(栃木i27号)」や、果皮が白い「ミルキーベリー」、夏に収穫ができる「なつおとめ」、近年誕生した「とちあいか」など、さまざまな品種が栽培されている。
西日本の地域で手にする機会は少ないかもしれないが、筆者は県内の産直市場で印南町産のものを購入した。シーズン到来を告げるとちおとめ。わずかながら県内でも栽培されているので、見つける機会があればぜひ食してみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)