和歌山の精神性表現 関西万博出展方針発表
和歌山県は10日、2025年大阪・関西万博の関西パビリオン内に設置する「和歌山館(仮称)」の出展基本方針を発表した。テーマは「和歌山百景―霊性の大地―」とし、高野山や熊野三山をはじめ、豊かな精神性が根付く和歌山の自然や文化、人、産業、食などの多様な魅力を表現する。岸本周平知事は「風光明媚(めいび)な場所はどこにでもある。和歌山はスピリチュアリティ(霊性)を中心に展示していきたい」と話す。
関西パビリオンは関西広域連合が共同で万博会場に設置するもので、ブースの一つの和歌山館は広さ251平方㍍。
紀伊山地は、古事記や日本書紀に描かれる神話の時代から神々が鎮まる場所とされ、宗教や身分をはじめとするさまざまな差異を共存、融合させてきたとし、その精神文化が、多様な価値観を尊重し合う「持続可能な世界」を実現する日本的モデルとなり得るとの考えを、和歌山館出展のコンセプトとしている。
基本方針に示された展示構成では、和歌山に根付く精神文化から育まれた自然・人・産業・食・文化などの多様な魅力を「和歌山百景」として表現。紀伊山地の巨木をほうふつさせるタワー状のモニター「トーテム」を環状に配置し、多彩なアートの映像を映し出す。
会場にはステージを設け、「和歌山の今を生きる人」に焦点を当て、伝統芸能や産業などの各界で活躍する県民や県出身者らによる多様なパフォーマンスを発信。飲食ができるカウンターバーも設置し、フルーツをはじめ豊かな和歌山の食の魅力を味わえる場所とする。
仁坂吉伸前知事時代の和歌山館の構想では、VR(仮想現実)の活用などが案にあった。10日の定例記者会見で岸本知事は、就任以降、若手職員らを交えた議論などの結果、既存技術であるVRや3D映像などは、万博で展示するには「古い」などの意見があったとし、今回の基本方針に至ったと説明。「大きなコンセプトの変更はない」とした上で、「国内外に和歌山を発信する機会であり、最大限に生かしたい。思い切り挑戦し、素晴らしいものを作りたい」と意欲を話した。
県は今後、より具体的な基本計画を策定し、夏ごろをめどに基本設計まで進めたいとしている。