起業家大賞にサンコー角谷氏 県経営者協

和歌山県経営者協会は、県内で独創的で市場性のある事業を展開している企業や経営者を表彰する「アントレプレナー(起業家)大賞」に㈱サンコー(海南市大野中)の角谷太基代表取締役、同奨励賞に匠技研㈱(和歌山市有本)の西本嘉尹会長、地域経済の発展に貢献する県内の先進的な女性をたたえる「キラリ!輝く女性ビジネス大賞」に㈲紀州煙火(有田川町西丹生図)の藪田さゆり代表取締役を選び、16日に表彰式を行った。

アントレプレナー大賞は2004年に創設し、今回が18回目となった。

サンコーは生活用品の企画、製造、販売を手掛ける。「人の心に貯金する」を経営理念に、年間1万通以上届くアンケートはがきをはじめ顧客の声に徹底的に耳を傾け、床に置くだけでずれないマット・シート「おくだけ吸着」シリーズ、水だけで汚れを落とせるクリーナー「びっくりフレッシュ」シリーズなどのロングセラー商品を生み出してきた。

2020年には経済産業省の地域未来牽引(けんいん)企業に選ばれ、21年にグッドカンパニー大賞(優秀企業賞)を受賞。22年には女性の活躍促進が優良な企業に対する厚生労働省の「えるぼし(3つ星)」認定を海南市で初めて受けた。

社会貢献活動にも積極的に取り組み、防災資機材の一時保管場所の提供などの災害時の協力協定を同市と締結するなどしている。

匠技研は、西本さんが地元機械メーカーを退職後、62歳で設立。ウインナーソーセージカットの機械で、折れなどによる不良品を大幅に減らす技法を開発し、国内シェア100%近くに成長させた。

「作るのは1回 使うのは毎日」のポリシーを掲げ、徹底した顧客第一主義で新しい製品、技術の開発に力を入れ、創業20年で特許を29個取得する高い技術力を保有。ハム・ベーコンの高速スライサーでは、ドイツの世界トップメーカーと渡り合うほどに技術力を高め、日本の大手メーカーを中心に全国で100カ所以上の工場に納品している。

キラリ!輝く女性ビジネス大賞は12年に創設し、今回が11回目となった。

紀州煙火は1958年創業の県内唯一の花火製造会社で、港まつり花火大会や和歌山マリーナシティのスターライトイリュージョンなど県内花火大会の7割以上のシェアを占め、県外では熊野大花火大会(三重県)など30~40カ所を手掛け、年間4万発以上を打ち上げている。

藪田さんは、全国新作花火競技大会で複数回の入賞を果たすなど、花火師としてのキャリアを重ね、3代目社長に就任後は花火事業の拡大にも注力。ユニバーサルスタジオジャパンでの火薬類取扱従事者への講習を担当し、大日本除虫菊㈱のCMで「KINCHO」の花火文字を手掛けるなど、活躍している。

表彰式は和歌山市のダイワロイネットホテル和歌山で行われ、県経営者協会の田中俊一会長が角谷さんに盾と賞金の目録を贈呈。西本さんと藪田さんは代理出席となった。

角谷さんは「栄えある大賞を頂き、大先輩の経営者、企業の名に恥じないようにしたい。時代が変わっても変わらないのは人の心と信じている。人が育む経営、会社にするんだという気持ちでこれからも精進していく」と話した。

 

田中会長㊧からアントレプレナー大賞の盾を受け取る角谷代表取締役

 


表彰式に続き、総会では22年度の事業報告や決算、23年度の事業計画案や予算案を承認した。

総会後は特別講演会も行われ、国立社会保障・人口問題研究所の是川夕国際関係部長が「国際労働移動ネットワークの中の日本 誰が日本を目指すのか」のテーマで話し、会員らは外国人労働の現状や展望について学んだ。