国内初の実用化「よつぼし」
前号では、シーズン終盤の時期に楽しめる「いちごジャム」の作り方を取り上げた。県内で収穫されるいちごは他にもある。今週は「よつぼし」を紹介したい。
よつぼしは、三重県、香川県、千葉県、九州沖縄農業研究センターが共同で研究開発したいちご。種子繁殖型品種として、日本で初めて実用化された。
いちごは、ランナーと呼ばれるツルで株分けを行い、クローンの増殖により苗を増やす方法が一般的であるが、よつぼしは種から育てる。それにより親株から病害虫などの影響を受けにくくなる。また、収穫時期が終わった後に親株を管理する必要がなく手間が省けるという違いがある。
また、一般的ないちごの性質である、日照時間が短くなり、低温になると開花する「一季成り」とは異なり、よつぼしは、日照時間や気温に左右されずに花を咲かせる「四季成り」であることから、日照時間が長い夏であっても実をつけることができる。
三重県が育成した「三重母本1号」を母親、香川県が「さちのか」や「とちおとめ」を育成した「A8S4-147」を父親とし、2014年に品種登録されている。名前の由来は、甘味、酸味、風味がそろい、よつぼし級においしいこと。そして、四つの機関が共同開発した品種であることを意味しているという。
果実は円すい形をしており、香りが良く、果皮より内側まで色づいており、中心の空洞がわずかに見られる程度。食してみると、酸味よりも甘味が先行し、硬さはちょうどよい程度。名前のとおり、バランスが取れた出来となっている。
主な収穫期は11月下旬から5月まで。筆者は県内の産直市場で購入。わずかながら県内でも栽培されている貴重な品種。見かけたらぜひ購入し、味わってみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)