生成AI活用を研究 和市がワーキングチーム
和歌山市の尾花正啓市長は25日、「チャットGPT」などの生成AI(人工知能)を活用し、業務の効率化や市民の利便性向上などを目指そうと、市役所内にワーキングチームを設け、研究を始めると発表した。どのような活用が可能か検証し、利用のためのルール作成を進める。6月5日に初会合を開く。
生成AIは、ユーザーの与える条件に応じて、画像、文章、音声などを自動で生成する人工知能サービスのこと。入力した質問に人間のような自然な対話形式で答え、回答精度も高いチャットGPTが2022年11月に公開されたことをきっかけに、世界的に注目され、利用が急増している。
誰でも簡単に利用し、高精度な文章や画像などが作れる半面、誤情報や偽情報が拡散され、偏見を助長する懸念や、著作権を侵害する画像やイラストが生成される可能性、情報漏えいのリスクなど、問題点も多く指摘されている。
新設するワーキングチームは、デジタル推進課DX推進班長をチーム長とし、同課や企画政策課、行政経営課と生成AIに関心のある職員15人程度で構成。研究内容は、生成のためのデータ入力や生成物の使用に関することなど、生成AIを利用する際のルール作成の他、利用によってどのような業務の効率化や行政サービスの向上が図れるのかなど、活用の分野や事例を検証していく。
尾花市長は25日の定例記者会見で、チャットGPTをあいさつ文の一部を作成する際などに利用しているとし、文章構成などの精度は高い一方、情報の正確性には課題があり、地方に関する情報が十分に学習されておらず、生成に含まれてこないことなど、ユーザーとしての実感を紹介した。
利用が可能になれば、行政事務での文書作成の効率化などが期待され、将来的には、行政サービスに関する市民の疑問などについて自動で答えるチャットボットの充実も視野に入れる。
尾花市長は「どういう使い方をすればリスクがないのか。ルール作りをして、積極的に活用できるところは活用し、業務の効率化、市民の利便性向上につながれば」と話した。