自転車交通ルール遵守 一斉取り締まり

自転車利用者の交通ルールの順守意識向上を図るため、警察庁による全国一斉指導取り締まりが30日に行われ、和歌山県内でも全12署がそれぞれに選定した自転車指導啓発重点地区・路線15カ所で計82人の警察官と33台が出動し、取り締まりを実施した。

県警交通指導課によると、昨年中の自転車が関係する人身事故の認知件数は220件で、人身事故全体の15・8%。そのうち自転車に乗車の負傷者は215人、重傷者は63人、死者は3人。

過去5年間でみると、2018年は303件(13・3%)、19年は277件(14・9%)、20年は256件(16・2%)、21年は247件(17・4%)と自転車が関係する事故の認知件数は減少している一方、人身事故全体に占める割合は増加傾向にある。

また、自転車の信号や一時停止無視といった交通違反が原因の事故もなくならないことから、県警は取り締まりを強化している。

県独自の取り組みとして、4月には同課内の暴走族対策室に自転車を意味する「BICYCLE(バイシクル)」の頭文字を取った、県警自転車取締部隊「B-POLICE(ビーポリス)」を配置。

4人の警察官が同部隊に属し、各署に1人ずつ配置の自転車取締指導者、BICYCLE CAPTAIN(キャプテン)「B-CAP(ビーキャップ)」の指導や、実際の取り締まりなどに当たっている。

この日の一斉指導取り締まりは、雨が降る中、各署B-CAPを中心に実施。指導警告実施件数は「一時不停止」11件、「右側通行」3件、「並進禁止」22件、「傘差し運転」20件、「携帯電話使用」3件、「その他の違反」8件の計67件だったという。

和歌山西署は、和歌山市西浜の県道和歌山橋本線で取り締まりを行い、B-POLICE1人、同署のB-CAPら計8人が参加。検挙はなかったが、並進や傘差し運転、携帯電話やイヤホンの使用などで現場指導をし、「セーフティカード」を24枚交付した。

同署交通課の野口紀人(としひと)B-CAPは「自転車は免許が要らないので軽く考えがちだが、法律上は車と同じで、歩行者をけがさせてしまう危険もあるため、きっちり重く考えてほしい」と話す。

今後は自転車利用者の交通ルールの順守が少しずつ浸透し、4月に努力義務化されたヘルメットの着用についても「当たり前に被るように根付かせるのが目標」と意気込んでいる。

並進で警察官から指導を受ける生徒たち

並進で警察官から指導を受ける生徒たち