豊作願い 紀美野「中田の棚田」で田植え

和歌山県紀美野町の「中田の棚田」で田植えが行われ、参加した約100人は泥にまみれながら手作業で苗を植え、爽やかな汗を流した。棚田をかつての景観に戻そうと活動する小川地域棚田振興協議会(北裕子会長)が主催。一般募集の参加者の他、和歌山大学の援農サークルや「和大LPP」として地域活動をする観光学部の学生ら約100人が集まった。

中田の棚田は、生石高原の麓に広がり、600年以上の歴史を持つ。今も手掘りの溝が残り、土木遺産としても価値が高い。

同協議会が立ち上げた中田の棚田の再生プロジェクトは、農作物や人、地域などを次世代へ「つなぐ」をビジョンに掲げ、肥料や農薬を使わず体に優しい自然栽培での米作りを行う他、イベントなどを通して棚田再生に向け、活動している。

田植えは26~28日の3日間行われ、3日間で8反(80㌃)の大小の田んぼ19枚に「ヒカリ新世紀」「あさひ」「かぐらもち」を植えた。昨年の4反の2倍の収穫量を目指す。北会長は「年に1度の大切な日。にこやかに笑顔で植えてください。深呼吸して自然の空気も味わってもらえたら」とあいさつ。

田んぼに線を引く道具や田植えひもを使い、植える基準となる目印をつけ、参加者らは、はだしや長靴でぬかるみに苦戦しながらも一列に並び、30㌢間隔で丁寧に苗を植えていった。

小川裕康町長や細峪康則副町長らも参加。細峪副町長は55年ぶりに田んぼに入ったと言い「田んぼの“ぬう”に入った感触が懐かしく感激した。子どもの頃に戻ったようで懐かしい気持ちになった」と笑顔。海南市から参加した岡野湖央(こお)さん(8)は「苗をしっかり植えようと頑張った。稲が大きく成長するのが楽しみ」と話した。9月下旬から10月中旬に収穫を予定している。

苗をしっかりと植える子どもたち

苗をしっかりと植える子どもたち