県北部に線状降水帯 河川流域等で避難指示
西日本から東日本にかけての広範囲は2日、台風2号の影響で活発となった梅雨前線により大荒れの天気となり、高知県や和歌山県北部で線状降水帯が発生したのをはじめ、猛烈な雨が観測された。和歌山市内は土砂災害警戒区域に警戒レベル4の避難指示が発令され、交通機関の運休や遅れ、道路の冠水などが相次ぐ危険な雨となり、市民は不安な一日を過ごした。
和歌山市内は午前9時9分に大雨・洪水警報が発表され、市は10時9分に17地区に警戒レベル3「高齢者等避難」を発令。さらに11時50分には土砂災害警戒区域にあたる広瀬、高松、紀伊、岡崎など26地区を対象に警戒レベル4「避難指示」を出し、高齢者等避難を市内全域42地区に拡大した。
午前11時現在の1時間の最大雨量は、田辺市・兵生で37㍉、新宮市・高田で36㍉、累積雨量は高田で289㍉、新宮市・新宮で275㍉など。和歌山市では午前8時台から1時間の雨量が20㍉を超える時間帯が続き、1日夜の降り始めから2日午後2時までの累積で161㍉に達した。
河川では、午後1時までに海南市の日方川、加茂川、亀の川、紀美野町の貴志川、湯浅町の山田川で氾濫危険水位を超えた。
海南市は日方川、加茂川、亀の川、貴志川流域の9275世帯・1万9929人を対象に警戒レベル5「緊急安全確保」を発令。和歌山市も亀の川の氾濫の危険を受け、三田、名草、安原の各地区に避難指示を出した。
建物の被害では、紀美野町吉野の住宅1件、みなべ町東本庄の納屋1件で床下浸水が発生した。
公共交通機関のダイヤも大きく乱れた。JR線は、和歌山線の高田―橋本間が午前7時54分から、和歌山―橋本間が10時から、王寺―高田間が正午ごろから順次、終日運転取りやめの措置が取られた。阪和線の天王寺―和歌山間、きのくに線の新宮―和歌山間も雨脚の強まりに伴い、終日運転が決まった。
南海線は、本線のなんば―和歌山市間、空港線の泉佐野―関西空港間で遅れが発生。加太線は磯ノ浦―加太間で線路が冠水し、和歌山市―磯ノ浦間で一時折り返し運転を行った。
和歌山電鐵貴志川線でも線路の冠水が発生し、午前9時42分以降の運転が見合せとなった。
徳島―和歌山を結ぶ南海フェリーは、2日夜の上下各2便と3日未明から早朝の上下各2便の欠航を決めた。
通勤・通学時間帯の南海和歌山市駅前では、激しい風雨に傘をあおられたり、壊れた傘を手にぬれたまま歩いたりする人たちの姿が見られた。JR和歌山駅では、発着する各線の運休を知らせる張り紙が掲示され、駅前のバスターミナルには利用客の長い列ができていた。