国境を超える故郷の絆 県人会世界大会閉幕
和歌山にルーツを持つ国内外の和歌山県人会の会員が一堂にふるさとに集う「第2回和歌山県人会世界大会」が5~8日の4日間で行われた。最終日の8日は和歌山市の県民文化会館大ホールで記念式典・コンサートが開かれ、一般参加者を含む約700人が、ふるさと和歌山を思い、つながる絆を確認し合った。
和歌山は、海外移住者数が全国6位の約3万3000人に達する有数の移民県であり、1885年のハワイへの移民を皮切りに、戦前・戦後を通じて、多くの県民がアメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジルなどに渡航。現地では和歌山県人会を組織し、支え合いながら各地域で生活基盤を築くとともに、ふるさとの発展のために送金するなどしてきた歴史がある。
県人会世界大会は、和歌山にルーツを持つ人々の郷土への誇りを高め、県民との相互交流を促し、移民史に対する県民の理解を深めるため、2019年11月に初開催。コロナ禍を経て4年ぶりの開催となった今回は、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、ペルー、アメリカ、韓国の8カ国、10の在外県人会と、国内6県人会から約470人が参加した。
記念式典では、開会宣言に続き、和歌山児童合唱団が国歌と県民歌を斉唱。星林高校吹奏楽部と和歌山商業高校吹奏楽部の軽快な演奏に乗せて参加県人会の紹介があり、司会が呼んだ県人会のメンバーは、歓声を上げ、国旗を振るなどして会場を沸かせた。
岸本周平知事は、移民した県民たちが失敗を恐れず、挑戦し、さまざまな困難の中で活躍してきたことをたたえ、「和歌山県人の心意気を次代を担う若者たちに伝えたい。ふるさと和歌山がいつまでも元気であり続けるように、精いっぱい頑張っていく」とあいさつ。各県人会に、和歌山各地の写真などをデザインした記念のタペストリーを贈呈した。
参加者を代表してあいさつした、東部カナダ和歌山県人会の後出吉之フランクさんは、ふるさとの若者に向かって「外国に出て、経験を重ね、成長の機会をつかんでほしい。自分の将来に大きな夢を抱いてください」と呼びかけた。
式典は「ふるさとへの誇りと自信を深めるため、そのつながりを将来にわたって育んでいくことをここに宣言します」との大会宣言で締めくくられ、続く記念コンサートでは、由良町出身のシンガー・ソングライター藪下将人さん、和歌山市出身のsinger SAYAKAさん、県内のよさこい合同連が出演し、会場を大いに盛り上げた。
白浜町がルーツのアメリカ・シアトルの移民4世、ケイティ・カニングハムさん(29)は「初めて和歌山に来て、自分のルーツを知り、日本の文化を体験できて良かった。他の県人会とも知り合いになれたので、つながりを広げていきたい」、みなべ町がルーツのメキシコの移民3世、寺本アルベルトさん(64)は「素晴らしい世界大会で感動した。最初から最後まで、細やかなおもてなしが心に残っている」、串本町がルーツのオーストラリア・木曜島の移民3世、オーシャン芝崎さん(25)は「先祖の町を訪問でき、移民が故郷の町に送金していたことを知ったのは良い経験になった。歴史を若い世代にもつないでいきたい」と話していた。