線状降水帯の対応追加 県が防災体制見直し
台風2号と梅雨前線の影響による6月の豪雨対応について和歌山県は22日、課題の検証結果と新たな対応を発表した。職員の防災体制の発令基準に線状降水帯の発生情報を追加し、災害対策本部の設置基準を2段階に見直すことで、より機動的な運用を目指す他、災害の初期段階から市町村を迅速に支援するため、県職員を情報連絡員として派遣するなどの取り組みを進める。
岸本周平知事は、検証による見直しのポイントに「仕組みの簡素化と機動性」を挙げた。
職員の防災体制の中で、従来は各2段階に分けている「警戒体制」と「配備体制」を各1段階に整理。防災体制の発令基準にはこれまで、線状降水帯の予報に対応した内容がなかったため、「顕著な大雨に関する気象情報」が県内に発令された場合などを基準に追加する。
災害対策本部を設置する場合、従来は全職員を動員するため、立ち上げや運営が大掛かりで、迅速な機動力に欠ける側面があった。今回の見直しでは、対策本部の段階を非常体制1号、2号の二つに分け、各種の気象特別警報発令時などを基準とする1号の段階では、関係課や地方機関の必要人員を動員する体制とし、より機動的な対応を目指す。
いずれも来年度からの予定だが、前倒しを含めて実施時期はさらに検討する。
被災市町村の情報収集に関しては、被害が大きくなるほど市町村が災害対応に追われ、県への報告が滞る傾向があるため、県災害対策本部設置前の段階で、各振興局から県職員を情報連絡員(リエゾン)として派遣するか、幹部同士の直通連絡(ホットライン)を開設し、迅速な情報収集、市町村支援を図る。
すでに8月の台風7号接近時、9月の線状降水帯発生時に東牟婁、有田各振興局管内でリエゾンの派遣を実施し、有効性を確認しており、今後も継続する。
児童生徒の安全な登下校については、登校後に大雨警報が発令され、臨時休校となって大雨の中を下校するケースがあったことから、翌日の登校が困難と予測される場合に、校長が臨時休校などの判断を柔軟に行うよう、県教育委員会から促すとしている。
また、災害救助法の適用基準が、人口規模の小さい自治体の方が厳しいことは問題だとして、基準の見直しを引き続き国に要望する。