手作り木のおもちゃを寄贈 半田和雄さん

子どもたちに木のぬくもりを伝えたいと、保育園や幼稚園などに、手作りした木のパズルやおもちゃを寄贈している和歌山市の半田和雄さん(71)。手触りが優しい木には癒やしの効果なども期待できることから、高齢者のリハビリでも需要が高まる。木製玩具がさまざまな場面で活用され、半田さんは「みんなの喜ぶ姿、楽しそうに遊ぶ様子を見るのが何よりうれしい」と喜びの表情を浮かべる。

県の危機管理局長などを務めた半田さんは、定年退職後に木工製品作りを始めた。ものづくりは好きだったが、全くの未経験。最初は孫のために積み木の制作からスタート。周りから「こんなん作って」という要望に応え、木馬やいす、テーブルなどを作っている時、接着剤や金物を使わない木のおもちゃ、組み木と出合った。

独学でその手法を学び、ひな人形や動物、パズルなどを作り、子どもたちにプレゼント。「『壊れたから修理して』と頼まれると、こんなふうになるまで使ってくれているんだと思い、最高にうれしくなる」と半田さんは言う。

中でも、四角いケースに象、サイ、熊、恐竜などをきっちりと収める、はめ込みパズルは大人気。半田さんは「立体で組むパズルは、子どもだけでなく高齢者も楽しみながら頭を使うことができるのではないか」と、友人を通じて高齢者施設に寄贈を申し出た。見本を渡し、レクリエーションで使ってもらうと好評だったという。

3月下旬には、和歌山市満屋の高齢者施設ほすぴ小倉にパズルを寄贈し、楽しそうに取り組む姿を見守った。同施設の相談支援専門員、川口希世さん(49)は「手を動かし考えるのでリハビリになる」と話し、「隣の人と『それ違うんじゃない?』などと言って楽しみながら取り組み、コミュニケーションが取れるようになっている」と感謝。

半田さんが作るパズルは、硬いメープルやブナの木を使用。厚さ30㍉の板を24㍉に削って磨くところから作業は始まる。歯の厚さ0・3㍉ののこぎりでデザイン通りに少しずカット。一つ3時間ほどかけて慎重に切っていく。木工製作を始めて5年が過ぎ、半田さんが工房として使うガレージはさまざまな機材と作品であふれている。

作品は昔話をテーマにしたものや、ひな人形、五月人形など遊び心いっぱい。半田さんは「これからも木のぬくもりあふれる楽しいおもちゃで、みんなに笑顔を届けたい」と、作品づくりに熱中している。

作品が並ぶ半田さんの工房

作品が並ぶ半田さんの工房