赤い果肉が特徴「スタールビー」

前号では、高糖度が特徴の新品種で、かんきつ産業の振興が期待される「あすみ」を取り上げた。今週は、今の時期に旬を迎えるかんきつで、味わいが良好な、国産のグレープフルーツ「スタールビー」を紹介したい。
スタールビーは1930年ごろ、アメリカで発見された品種。日本国内に入った時期は定かではないが、わずかながら日本でも栽培されている。以前、このコーナーで紹介した国産グレープフルーツ(紀の川市で栽培)は果肉が白い「ホワイト・マーシュ」と呼ばれる品種。今回、果肉が赤い「スタールビー」を県内の産直市場で見つけた。栽培地は田辺市。
果重は300㌘程度と大きめ。温暖な地域でも日本のように厳しい寒さがある地域は腰高の球体になる傾向があり、海岸部などの温暖な地域や施設栽培される際はやや扁平な扁球形となる。果皮の厚さにも地域性があり、寒さがある地域ほど厚みが増え1㌢を超えるものも。暖地では5㍉程度と薄くなる。果皮の色にも差があり暖地ほど橙色に近くなる。筆者が購入した県内産のものは1㌢に満たない厚みであった。
特徴は鮮やかな赤い果肉とみずみずしさ。赤い果肉には、抗酸化性が強く、動脈硬化の予防に効果があるとされるリコピンが多く含まれているという。
食してみるとグレープフルーツ特有の酸っぱさよりも甘さが先行。それでいて程よい苦みが残り、甘味と酸味のバランスが取れた絶妙な味わいである。果汁の多さもうれしい点である。食べ方は半分にカットしスプーンですくって食べるのが一般的だが、スマイルカットにして食べやすくすることも。果汁を搾り、焼酎と炭酸水で割ったスカッシュとして楽しむこともできる。
旬は4月下旬から7月中旬。ぜひ味わってみてほしい。(次田尚弘/和歌山市)