公益通報の和歌山市職員自殺 支援団体が会見
和歌山市の不正な補助金支出を公益通報した市職員の男性(当時20代)が自殺し、配慮を欠く人事が行われたことなどが背景にあったとして、遺族の支援者らは14日、公務災害の認定や、市の第三者委員会による真相解明などを求める団体を立ち上げ、活動していくことを明らかにした。
記者会見した支援団体によると、男性は2018年5月、勤務先の平井児童館で上司から不正な補助金申請の書類作成を指示され、心身に不調をきたして休職。同年8月に公益通報を行った。
市は公益通報を元に行った調査で不正支出を確認し、20年2月、関与した職員15人を処分した。
男性は18年10月に職場復帰し、別の部署で勤務していたが、関係職員の処分発表から約4カ月後の20年6月、自宅で自殺。同年4月から、処分を受けた職員が男性と同じフロアに配置されており、支援団体は「配慮のない人事が行われ、公益通報者が十分に守られていなかったのではないか」などとし、市が第三者委員会を設置し、経緯を明らかにすることを求めている。
男性の遺族は20年11月、公益通報を行ったことなどにより男性が数年にわたり強いストレスを感じていたとして、地方公務員災害補償基金県支部(支部長=岸本周平知事)に公務災害の認定を請求したが、同支部はことし1月、「公務外の災害」と認定。遺族は5月13日、不服申し立てを行った。
元市職員で支援団体共同代表の西泰伸さんは「公益通報者が守られなければ制度が成り立たない。通報者が自殺に至る悲しいことが二度と起こらないよう、しっかり調査してもらいたい」と話す。
支援団体は6月1日午後1時半から、同市手平の和歌山ビッグ愛で結成総会を開く。