親子で一息 託児カフェ開設目指す山尾さん
パートナーの勤務状況や近くに親がいないなどの理由で、子育てを一人でこなす「ワンオペ(=ワンオペレーション)育児」。同育児による孤独感を解消し、「子どもと一緒に周りを気にせずほっと一息つきたい」という親たちに休息の場を提供しようと、和歌山市中の山尾美里さん(31)は、自宅近くのマンションの一室で、親子交流会を始めた。2025年10月をめどに、市内で託児カフェの開設を目指している。
目指すカフェ像は、「ママが子どもを預けてゆっくり食事しリフレッシュができる」「保育士による子どもの一時預かりがある」「お年寄りなどに協力してもらい、地域を巻き込んだ子育てができる」こと。
山尾さんは大阪府池田市生まれ。就職を機に和歌山市へ移り住んだ。カフェ開設を思い立ったきっかけは、22年8月に娘を出産したこと。育児休業を取り育児に専念したが、夫は帰宅が遅く、土日も頼れず、孤独感を感じていた。そんな時に助けられたのは、週に1度開設される、マンション住民対象の図書スペース。子を持つ親たちの憩いの場になっていた。ここで同世代の母親たちと育児の悩みを話しながら、「子連れで周りを気にせず、ゆっくりお茶が飲めたらいいのに」という話になったという。
昨年7月から同スペースで親子交流会を開き、子育て診断士によるセミナーや「ケーキを食べて癒されよう」などの催しを行ってきた。
「幼い娘との時間を大切に過ごし、ワンオペに悩む親たちに共感し合える場所をつくりたい」――。娘が母親になった時に「子育ては幸せで楽しい」との思いを伝えられるようにと、ことし3月、一念発起して退職。9年間続けた教員という定職を手放し、部活動の生徒や教え子らと別れることに長期間迷ったという。
現在は資金作りのため、非常勤教員を務める。
同会の在り方は模索中で、現在は「お取り寄せカフェ」と題して週1度開いている。山尾さんがケーキやお菓子を仕入れ、遊びに来た親子に希望があれば、飲み物などと一緒に提供する。気ままに過ごしてもらうため注文の強制はしない。「子連れでお店に入りにくい」「いろいろな種類を食べたいが期限内に食べ切れない」と、人気のお菓子を諦めていた親たちに好評で、食品を食べ切るというSDGs貢献も目指す。
子育て「一人じゃない」 共感し合い心に余裕を
このほど開かれた交流会には4組の親子連れらが訪れた。山尾さんはママたちと、離乳食や母乳育児、仕事のこと、子どものイヤイヤ期について話し合い、山尾さんが自宅で余ったレトルトの離乳食などを希望者に配布した。2回目の参加で、1歳の子どもを持つ同市太田の田中真季さんは「のんびりできた。出産がコロナ禍の最中だったので、(妊娠・育児の)催しが全て中止になり、情報もなく孤独だった。ここでは子どもが動き回っても気にしなくていいし、こんな場所があることを他の人も知ってほしい」と話した。
目指すカフェには、親がリフレッシュすると同時に、子育てが一段落した地域の人などにも託児を協力してもらえればという願いがある。地域を巻き込んだ在り方が今後の課題という。
「交流会に来るママたちに、『大丈夫!ひとりじゃないですよ』と声を大にして伝えたい」と山尾さん。「親の心の余裕は、子育てに直結します。体力がきつい日、不安な日、いらいらする日などありますが、親同士で共感し合えるだけでびっくりするくらい心に余裕が生まれます。一人で抱え込まず、ぜひふらりと来てみてください」と呼びかけている。
今後の交流会の予定は27日午後0時半~3時、6月7日午後2時~4時半、12日午前10時半~正午、19日午前10時~正午。
可能なら事前連絡する。当日参加も可能。問い合わせ・詳細は山尾さん(℡090・4492・5426、)かメール(taniyaniyan31@yahoo.co.jp)。インスタグラムからも確認。