日本一"おかしな"駅弁 信愛短大生ら考案
和歌山電鐵貴志川線に名物をつくり、路線の活性化を図ろうと、和歌山信愛女子短期大学(和歌山市相坂、森田登志子学長)の2年生は昨年度から、紀の川市、和歌山電鐵㈱と共同で「日本一“おかしな”駅弁」の開発に取り組んでいる。「おかし」は、意外性(おかしい)、市の特産品である果物(お果子)、スイーツ(お菓子)の意味を掛け合わせている。5月24日には試作や梱包などに必要な費用を集めるため、市が行政版クラウドファンディング(CF)を始めた。
同短期大学と市は2023年8月7日に包括連携協定を締結し、昨年度は協定に基づいて集中講義を開講した。10人の学生が全5日間の日程で、「日本一の○○をつくる」というテーマの下で同社の講義を受けた。学生らは沿線を探索するフィールドワークや企画会議などを通してプロジェクトマネジメントを学び、「日本一“おかしな”駅弁」を貴志川線に作ることを提案した。
当初、講義では提案までを目標としていたが、学生は「提案が社会に通用するものか挑戦したい」との思いから、本年度は提案の実現に向けて授業外で活動を継続。市と同社も引き続き協力している。
試作品が完成し披露 行政版CFで寄付募る
5月には、市内で菓子店の開業を予定しているKiiKa(キイカ)の山野裕代さんがお菓子作りを担当し、試作品が完成した。「鶏そぼろと炒り卵の2色弁当風フルーツタルト(仮)」と名付けられ、縦9㌢、横11㌢、厚さ2㌢の箱の中に、3層で作られている。一見、そぼろ弁当に見せかけた本格的なフルーツタルト。表面の層にはチョコレート味とプレーン味のクッキーを、アーモンド生地の中間層には市産の、キウイ、ハッサク、イチゴ、柿、イチジク、桃を使用している。底の層はタルト生地になっている。
5月25日には、同短期大学であった地域交流イベントで試作品が披露された。学生らは試食を参加者に無料で配布。今後は試作品の改良や梱包のデザインなどを予定している。
CFは8月22日までを予定。寄付はホームぺージで、ふるさとチョイス、JALふるさと納税から。市地域創生課の窓口でも受け付けている。
11月ごろから返礼品として、「鶏そぼろと炒り卵の2色弁当風フルーツタルト」の発送を予定している。
同短大生の谷田萌恵さん(19)は今後も学生10人で協力して実現を目指したいとし、「私たちの取り組みを知って少しでも貴志川線を訪れる方が増えればうれしい」と呼びかけている。
同課の西川昌克主査(35)は「学生の自主的な実現したいという熱を応援したい」と話している。