勇壮、華麗に伝統息づく 盛大に粉河祭
紀州三大祭の一つ「粉河祭」が27、28の両日、和歌山県紀の川市の粉河とんまか通り周辺で行われ、大勢の見物客でにぎわった。
粉河寺鎮守である粉河産土神社の祭礼で、起源は同神社が創建された平安初期の延暦年間(780年ごろ)とされる。戦国時代に一時途絶えたが、天正13年(1585)に猿丘(粉河城)城主・藤堂高虎によって再興された。
27日の宵祭には、同神社で湯立て神事があり、日が暮れた頃から、だんじりのちょうちんに明かりがともった。周辺に太鼓と鉦(かね)による軽快なだんじり囃子が響き渡る中、7時からは5基のだんじりが運行。「餅花」(もちばな)と呼ばれる細長く割った竹ひごを、上部に枝垂れ状に飾り付けた特徴的なだんじりも沿道に並んだ。
だんじりの往来を取り仕切る「交渉員」が、沿道の人たちに「中入ってよー」と大きな声で呼びかけて道をつくり、その中を各町のだんじりが勢いよく駆け抜けた。
浴衣姿の人や外国人客も多く、勇壮に運行する様子を動画に収めていた。初めて粉河祭に来たという岩出市の会社員の女性(28)は「これほどたくさんの人がいる中や、他のだんじりとの間をすり抜けていくのは、すごい。迫力があった」と話していた。
28日の本祭では、同神社で式典があり、子どもたち約20人による「子どもだんじり」が運行。各町のだんじりが練り歩いた後は、だんじりから餅や菓子が豪快にまかれた。
粉河祭保存会の恩賀要会長(74)は「宵祭は市内外からたくさんの人が来てくれ、無事にだんじりを運行でき、ほっとしている。800年続く祭りを途絶えさせる訳にはいかない。伝統を守りながら、時代に融和したかたちで次の世代へ伝えていきたい」と話した。