SF小説初挑戦で優秀賞 桐蔭高2年の枝元さん

SF作品コンテストで優秀賞に輝いた枝元さん
SF作品コンテストで優秀賞に輝いた枝元さん

15歳以下のSF作品コンテスト「よいこのanon press award(アノンプレスアワード)2023」(アノン㈱主催)で、和歌山県立桐蔭高校2年の枝元悠大さん(16)の作品「オリガミの街」が優秀賞に輝いた。初めて書いた小説での受賞に、枝元さんは「まさか自分なんかが取れると思っていなかったので、すごくうれしい」と喜んでいる。

同コンテストは、メディアレーベルのanon pressが未来をつくる文化的資産としての子どもたちの想像力を発見・育成・発信していこうと開催。

「だれも想像したことがない未来」をテーマに、想像力豊かな小説や詩(SFやライトノベル、ファンタジーなど)を募集。審査員は青木竜太さん(芸術監督・社会彫刻家)、渡邉英徳さん(東京大学大学院教授)、森竜太郎さん(アノン㈱代表取締役)、樋口恭介さん(SF作家)が務めた。

枝元さんの作品は「オリガミ」という有機薄膜を折り畳んで、あらゆるものを自由に創成できるようになった近未来が舞台。依頼主からの要請を受けて、主人公がある街を訪れる物語を描いた。枝元さんは「AIでなく、人が創作することの意味をテーマにした」という。

審査をしたSF作家の樋口さんは「理論的な説明や設定の展開が重ねられる一方で、大胆にジャンルが転換するような仕掛けがあり、次々とエピソードが生まれていくところが良かった」と評価。

枝元さんは昨年、16歳の誕生日を迎える2時間前に応募。構想期間約1週間、3時間ほどで書き上げたという。数学と物理と現代国語が得意科目で、高校では科学部に所属している。幼稚園の頃から折り紙が好きで、9時間ぶっ通しで折り続け、家族から心配されるほど熱中していたという。「折り紙のように自分の脳内と手元で自由に操作できるガジェットがあればいいのにな、と考えて、有機薄膜を折り畳んでいくことでさまざまなモノがつくれる未来を発想した」と話す。

また、小学3年時から落語を中心とした笑いの文化の研究、発表、交流などを行うボランティア団体「わかやま楽落会」に所属。落語を6席ほど覚え、人前で披露している。

「短いストーリーの中で緩急をつける落語から学んだことは多い」という枝元さん。今回の受賞を受け「もう少し書いてみよう」とやる気になっている。しかし来年は受験。将来は人工知能を取り扱う技術者か研究者になりたいといい「今は国立大学を目指し勉強を頑張りたい」と笑顔で話す。

授賞式と審査員と受賞者の座談会の様子はanon pressで見ることができる。

受賞作品は、編集作業などが終わり次第、anon pressで公開される予定。