マリンバ奏者の新井さんら 和歌山市文化表彰
和歌山市の文化向上、発展に特に功績のある個人・団体に贈られる2024年度市文化表彰の受賞者が決まった。「文化賞」にマリンバ奏者の新井貞子さん(79)、「文化功労賞」に俳優の岡部たかしさん(52)、バイオリニストの寺西一巳さん(58)、「文化奨励賞」にユーフォニアム奏者の小寺香奈さん(47)、県腹話術協会(宮本敏企会長)の4人と1団体が選ばれた。表彰式は11月3日、和歌山城ホールで行われる。(年齢は表彰式時点、写真は市提供)
新井さんは下津町(現海南市)出身。大阪音楽大学付属高校、同大音楽学部器楽学科打楽器専攻を卒業。1967年にデビュー演奏会を開いて以来、関西の主要オーケストラと協演するなど、和歌山市のマリンバの第一人者として精力的に活動している。
1994年の世界リゾート博での「マリンバアンサンブル」、「紀の国わかやま文化祭2021」でのマリンバと炭琴のコラボレーション、市民文化まつりへの長年にわたる参加など、市の音楽文化にさまざまな場面で貢献。紀伊半島豪雨災害、東日本大震災などのチャリティーコンサートへの参加をはじめとする社会貢献活動、後進の指導にも力を注ぎ、功績は極めて大きいと評価された。
岡部さんは和歌山市出身。高校卒業後、24歳で役者を志して上京。NHK大河ドラマでは「龍馬伝」「八重の桜」「真田丸」「西郷どん」と出演を重ね、2021年放送の「青天を衝け」では渋沢栄一の盟友である大倉喜八郎を演じ、24年度前期の連続テレビ小説「虎に翼」では、主人公の父という重要な役を好演した。
時代劇から現代劇まで幅広い役柄を演じ、演技力と表現力は高い評価を得ている。近年は、ドラマ、映画、舞台、CMと活躍の幅を広げ、自身が立ち上げた演劇ユニット「切実」では役者の他、演出も手掛けている。
寺西さんは和歌山市出身。城北小学校2年生の時にバイオリンを始め、京都市立芸術大学音楽学部弦楽専攻を卒業。1990年に渡欧し、ウィーン国立音楽大学で学ぶ。93年にオーストリアの州立チロル交響楽団に入団し、在団中はオーケストラ活動の他、室内楽やレコーディングでも活躍した。
98年に帰国後、関西を中心にソロや室内楽の他、テレマン室内管弦楽団のソリストやコンサートマスターなどを務め、現在は和歌山フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター、尼崎市民交響楽団の指揮者などで手腕を発揮している。
小寺さんは大阪府出身。12歳からユーフォニアムを始め、東京藝術大学音楽学部器楽科ユーフォニアム専攻卒、同大学院音楽研究科修士課程音楽文化学専攻。2008年から同時代の作曲家と共に新作の初演を行い、14年には「ディスカバリー・ユーフォニアム」と銘打った新たなリサイタルシリーズを開始し、ユーフォニアムのレパートリーの開拓に取り組んでいる。
ソロや室内楽、各地のオーケストラ、吹奏楽団への客演を重ねている他、和歌山大学准教授として音楽教育にも熱心に携わっている。
県腹話術協会は1980年に発足。市内小学校で給食を担当していた教諭が、子どもたちの偏食や食べ残しの解消のために考えた腹話術による授業がきっかけとなり、保育士、消防士、主婦、自治体職員など9人で協会設立に至った。
協会は81年から毎年「腹話術の祭典」を開き、会員が技術を磨いている他、高齢者施設などへの訪問公演も行い、高齢者の文化活動促進にも寄与。2014年には和歌山市市民公益活動団体に登録し、芸能・娯楽としてだけでなく、腹話術を通して人権、防災、交通安全の語りかけを続けており、22年には県知事表彰を受けている。