日常の疑問を科学で探究 向陽高でSSH発表会
理数科目を重点的に学ぶスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として、文部科学省の指定を受けている和歌山市太田の向陽高校・中学校の成果発表会が1月31日、同校で開かれた。
プレゼンテーション力や科学コミュニケーション力の育成を図る目的で毎年実施。中学1年から高校2年までの約900人が、自分たちで見つけた、幅広い分野の研究結果やディベート、ポスター発表を行った。
体育館や教室に分かれ、生徒らはまとめた研究成果を聴講する生徒や保護者、学校関係者に向けて発表。同高環境科学科2年の4人の口頭発表では、スライドを使用して「カエデの種子を応用した風力発電の風車の開発」についての研究発表を行った。
発表した生徒らは、日常でイロハカエデの種子が回転しながら落下するのを見たことをきっかけに、この形状を何かに応用できないかと考え、風力発電の風車に応用するということを思い付いたという。
研究は、回転の仕組みを解明すること、その仕組みを応用した装置の開発を目的に進めた。通常とイロハカエデの種子を応用した風車を作製し、発電量や風の動きを調べ、厚みや形、角度などを変えた羽根を備えた風車で実験した。
調べるうちに、回転に効率が良い形状であることが分かり、イロハカエデの風車を応用し、弱い風でも回転する小型風力発電装置を開発すれば、日本の風力発電が普及するのではと考えた。
「羽根の形状で風の前後の風速や気圧の違いが大きくなるのでは」、「イロハカエデの風車には抗力も働いているのでは」との考察を発表した。
聴講した生徒からは「図や表が分かりやすかった」、「回転して落ちる他の植物を調べるのも面白いのでは」などの感想があった。発表した生徒は、今後は揚力と抗力の二つの力が働いていることを解明したいと話した。