津田総料理長に厚労相表彰 アバローム紀の国

表彰状を手に笑顔の津田総料理長
表彰状を手に笑顔の津田総料理長

本年度の調理師関係功労者・厚生労働大臣表彰(調理業務功労者)に、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国の津田忠昭総料理長(50)が選ばれた。津田総料理長は「1番にならないと嫌で、31年頑張ってきた。表彰を受けてすごくうれしい」と喜んでいる。

調理業務功労者は、常に第一線で調理業務に従事し、かつ指導的立場で調理技術の発展や調理師の資質向上に顕著な功績があった人を表彰する。今回は全国で70人が表彰を受けた。

津田総料理長は父が喫茶店の料理人、祖母は病院の調理師。幼い頃から料理を作る仕事が身近な家庭で育った。

小学校高学年から料理を作るようになり、中学、高校では父の職場で洗い物を手伝い「調理場に入るのが楽しかった」と振り返る。

和歌山工業高校を卒業後、1993年にホテルアバローム紀の国の前身である紀の国会館に和食調理員として就職。洗い物や雑用などをしながら、野菜を切る、盛り付けるなど、仕事を任されることに喜びを感じ「あらゆる知識を体に植え付けたい」と、先輩から技術を学びながら人一倍働いた。

5年後には魚をさばくことを任されるようになり「もっと上を目指したい」と努力を重ね、2005年、「割烹六つ葵」料理長に就任。雑賀崎の魚、熊野牛など和歌山の旬の食材をふんだんに使い、伝統的なものを生かしつつ、新しいものを取り入れ融合させた和食で多くの人の心をつかみ、21年には同ホテルの総料理長に就任した。

体に優しい料理を心がけ、塩分を控え目にし、だしと食材のうまみを掛け合わせて、余韻が残る味付けになるよう工夫しているという。月に数回、ジャンルの違う和洋中のシェフが集う勉強会に参加して、情報交換するなど探究を続け、自らの知識や技を後輩に伝えている。また県調理士会の会員として高齢者施設で料理を振る舞い、小学校で児童に料理を教えるなど食育活動にも力を入れている。

同ホテルマネージャーの酒井優大さん(32)は「津田さんの料理は人柄のような優しい味がする」と話し「誰よりも早く出勤し、人一倍働いている熱心な仕事ぶりを見て学ぶことは多い」と尊敬しているという。

春の新作メニューでは雑賀崎の魚や旬の野菜をふんだんに使い、ウニ風味のタイしゃぶ鍋や特製巻きずしなどを作った。

津田総料理長は「歳を重ねるごとに料理に深みを出し、県で一番といわれるホテルになることを目指したい」とし、「さまざまな人から祝いの言葉をもらっている。受賞の名に恥じないようこれからも技を磨き続けたい」と意気込む。